サクラの日常編 第二話目
ボクはミーシャ、一応冒険者やってます。
一人称が男の子ですが、一応生物学的に見れば女です。
さて、唐突ですが、ボクの朝は早いです。
愛しのサクラお姉さまの起床に間に合うよう、
こっそり宿を出て、お姉さまの家に向かいます。
サクラお姉さまの寝室は二階にあり、入り口から入ることが出来ません。
え?何でかって?
どういうわけかお姉さまのお母さまはボクを家に入れてくれないのです。
ボクはサクラお姉さまの仲間であり、友人だというのに何故でしょう。
仕方ないので、サクラお姉さまの家の前の通りまで出て、屋根を伝って登り、窓から部屋の様子を窺います。
カーテンが閉め切られた窓越しなので、中の様子がよくわかりませんが、気配を探るとまだ起きていないようです。
これはチャンス!と思い、足音を立てないようにして家に近づきます。
そして、カーテンの僅かな隙間からお姉さまの様子を覗きこみます。
……ああ、サクラお姉さま!!!なんってお美しい!!
寝ている姿も凛々しく美しく、まるで天上の美の女神様のように神々しいです。
おや、しかしサクラお姉さま、妙にスペースを詰めて寝ているような……。
……はっ!?まさか、他に誰か寝ている!?
ボクのお、お、お姉さまに悪い虫がががががががががががががががが!!!
許せません!許すまじ!このボクを差し置いて、お姉さまの隣で眠るなんて不届き千万!!
今すぐその命をもって贖いなさい! ボクの怒りは頂点に達しました。
「死ねぇぇぇ!!」
そう叫びながら剣を取り出し、まずは邪魔な窓を叩き壊し、
ボクからサクラお姉さまをNTRしたそいつをぶち殺そうと、
ガラッ―――
そいつは、ボクが剣で窓を叩き壊そうとする前に窓を開いた。
そして、その人物の正体は――
「お・は・よ・う」
「あ、あ、あ………か、カレンさん………」
そこにいたのはボクの天敵、サクラお姉さまの幼馴染のカレンさんでした。
「あなた、今サクラに襲い掛かろうとした? こ ろ す わ よ 」
物騒な事を言いながらカレンさんはボクの胸元を無造作に掴み、
そのまま空高くに投げ飛ばしました。
今日もいい天気だなー、お天道様がこんなにも近いやー。
こうして、ボクの朝の日課は、いつものように終わりを迎えました。
ヘイワダナー