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奴隷商人の矜持  作者: 夜
8/30

7話

「さて、その背中の『呪い』を見せて頂きましょうか。」


メレクが微笑みながらルーク侯爵に言うと少し戸惑いながらも上半身裸になった。


「………これは酷いですね…。薬は?」


ルーク侯爵の背中の皮膚は爛れ、火傷の様になっている。

その様は見ているこちらが痛くなってしまうほどに痛々しかった。


「みなこの『呪い』が移ると言うのだ。しかし私は自分では濡れない。」

「………まぁそうでしょうね。」


世界的に『魔術』は存在しても『呪い』は存在しないとされている。

しかし使用用途によっては『魔術』も『呪い』となる。

それもかなり強力なモノに。

その結果がルーク侯爵のこの爛れであった。

よくこの症状で服を着ていれたなと関心するメレクだった。


「なら私共の奴隷がその責務を全うしましょう。もちろん私の販売する奴隷は『呪い』が移るなど、間違った知識は持ち合わせておりません。」


ルーク侯爵は服を着ると椅子に腰かけ、メレクを真っ直ぐ見つめる。


「その奴隷は買わせて頂く。しかし……。」

「ええ、その『呪い』は誰からのものなのか……。それがわからないのでしょう?」

「ああ。私共貴族は多方面から嫌われ、命を狙われている。」

「………その情報を仕入れる事は恐らく可能です。」

「本当か!?」


メレクはゆっくりと頷く。

そして窓から見える大きな教会を少し見ると再びルーク侯爵に目を戻した。


「しかし……時間が少しかかるかもしれません。今、私の情報網は少々忙しいのです。」

「構わないさ。この痛みから逃れられるならば……そんなもの。」

「………そうですか。」


メレクは立ち上がるとファーストに目配せをし、扉の前に立つ。


「ルーク侯爵はその犯人をどうされるので?」

「………わからないさ。その時の私に任せるとする。」

「懸命な判断です。」


扉を開け、兵士にお辞儀をするとメレクは廊下を歩いていった。


「懸命な判断か……間違った判断ではないと信じたい。」


ルーク侯爵は天井を見つめ、目を閉じた。

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