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奴隷商人の矜持  作者: 夜
7/30

6話

「さて、今日から商売を始める。それぞれの役割を言うから自らの判断で動いてくれ。」


メレクの前にはリーダーである4人がいる。

今回の商売場所である法国では様々な目的があった。


「ファーストは俺と一緒に富裕層への商売。セカンドはこの宿に待機をしてくれ。フォースは金になりそうな人物への接触。」

「私は何をすれば良いでしょうか?」


サードが手を挙げ質問する。


「サードにはコイツの情報を持ってきて欲しい。できるだけ多く……。」

「………承知致しました。」


サードに紙を1枚渡し、それを見たサードの顔が少し強ばった。

紙にはこの国の枢機卿であるアンドリューの名前が書いてある。

つまり他の国で言う、宰相のポジションの人物だ。

恐らくガードが硬く、情報を入手する事も困難だろう。

だからこそメレクはサードへと依頼した。


「じゃあそれぞれの役割を全うする様に。」

「「「「承知致しました。」」」」


メレクは外に止めてある馬車の中へと顔を出す。

その壁には無数の木の札がかけられており、1番左上には『ファースト』と書かれている。

この木の札は『生死探知具』と呼ばれる奴隷商人が持つ魔道具だ。

奴隷が死ぬと木の札も割れる。

メレクはサードの木の札を壁から外すとポケットに入れた。


「…………。」




「すみません、ルーク侯爵様にお会いしたいのですが……。」

「何の用だ?」

「私は奴隷商人をさせて頂いているメレクと申します。ぜひ奴隷を買っていただきたく。」


メレクは門番に要件を話すとかなり簡単に屋敷に入る事が出来た。


「ありがとうございます。」

「兵士を2人つける。そこは了承してくれ。」

「ええ、わかっていますとも。」


メレクとファーストは兵士に連れられ、侯爵の書斎に招かれる。

部屋は貴重そうな本がぎっしりと本棚に並べられており、絨毯も実に高そうだった。

メレクはその様子を一見すると侯爵へと目線を向ける。

その姿は醜く太っていた。

顔も脂ぎっており、その様子から嫌悪感が湧き出る。


「侯爵様へご挨拶申し上げます。私はメレクとコチラは奴隷のファーストと申します。」


メレクとファーストは深くお辞儀をする。


「よい、顔を上げよ。それで私にモノを売ろうと言うのだね?」

「はい、ぜひ買って頂きたく参上致しました。」

「それはその奴隷か?私には必要ない。」

「いえ、この奴隷は今回の売り物ではありません。侯爵様へ必要な奴隷をお売りするのが私共の商売でございます。」


侯爵は机にある書類に目を向けながら適当にメレクの話を聞いている。

メレクは少し微笑み、嫌でも興味をそそられる話をした。


「侯爵様に今必要なのは家事が出来る奴隷と……普段からお気に召されているモノではありませんか?」

「…………兵士2人、部屋の外へ。」

「はい?外へ出てしまうとーー。」

「私が外へいけと言ったのだ。聞こえなかったのか。」

「………申し訳ありません。」


侯爵の一言で兵士の2人は部屋の外へと出ていく。


「それで、どこからその話を聞いたのだ?」

「どこからでしょう?最近お抱えの兵士が1人お辞めになったそうですが……関係あるかも知れませんね。」

「………ふ、はははははっ!いいぞ、買ってやろう。何を提供する?」


メレクはニッコリと笑う。

その笑みは人当たりの良い笑みだったがファーストはちょっと不気味に感じた。

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