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奴隷商人の矜持  作者: 夜
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3話

エミニル法国は世界的な宗教であるレブサエル教の総本山だ。

王や皇帝は居らず、教皇が国を統治している。

法国といっても宗教の自由が無いわけでもなく、ただここに馬鹿でかい教会が立っているに過ぎない。

しかしながらエミニル法国は中立国家である為に国際問題の裁判権を持っている恐ろしい国だ。

その裁判結果にケチをつける事も出来ないが、今まで不満も出た事が無い特殊な国と言える。



「身分証をお願いします。」


やっと門番への順番が回ってきた。

そばに居るのはファーストとフォースだ。

俺が狙われる事があればファーストが守り、フォースはその見た目から安く物を売ってもらいやすい。

恐らく近くにサードも居るだろうが今は見えない。

馬車の中にはそれ以外の奴隷が乗っている。


「商人ですか。どうぞ。」

「ありがとうございます。」


国へ入ると白を基調とした大きな教会か見える。

その他の建物も白を基調とし、バランスが取れている。美しい国だ。

道には一切雑草などは生えておらず、管理が行き届いている。

だがこの国でも奴隷は売れる。


「さて……フォース、サード。情報を集めてきてくれ。」

「「承知致しました。」」


どこからか現れたサードは直ぐに街へと消えてしまった。


「ファースト。一応フォースに着いて行ってくれ。アイツに戦闘技術は無い。」

「かしこまりました。」


メレクは馬車を見ると直ぐにセカンドが出てくる。


「セカンドは俺と一緒に宿屋探しだ。」

「承知致しました。」


綺麗な道を歩く人々はいかにも幸福そうであった。


「気持ち悪い。」


メレクはそう呟くとまた馬車を進める。

そして適当に選んだ宿屋へと入っていく。


「すみません、泊まりたいのですが……。」

「少々お待ちくださいね。」


店主は何か書類を忙しそうに片付けていた。

宿屋の内装はしっかりしており、よくわからない壺や絵画が置いてある。

多少金持ち目当てに提供しているのだろう。

こういったところの方がメレクは商売かしやすい。


「お待たせしました。2名様のお泊まりでしょうか?」

「1人です。」

「ああ……了解致しました。」


奴隷は人として認識していない。

形が人なだけでその本質は所有物となる。

店主から鍵を貰うとメレクとセカンドは部屋へと向かう。


「そろそろサードが戻ってきてもいい頃か。」

「ただ今戻りました。」


サードが目の前で膝をつく。


「サード。ファーストとフォースに伝言だ。この宿に泊まっているから情報が入り次第戻って来るように。とね。」

「承知致しました。」


再びサードが消える。

メレクは椅子に腰かけ、天井を見つめる。

これからこの国でどう商売をするのかを模索していた。

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