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奴隷商人の矜持  作者: 夜
12/30

2章1話

「入国するためにはその馬車の中身を見せて下さい。」

「はい、いいですよ。」


メレクは門番にとめられ、馬車を降りた。

ここはピーラン連邦という国だ。

ピーランというヘンテコな名前だが連邦と言うだけあって元々は2つの国だった。

『ピーフォン国』と『シャランド国』という国だった。

それがくっつく事で『ピーラン連邦』が誕生した。

この国は戦争が好きな事で有名だ。

特に隣国であるバルギア帝国とは犬猿の仲だ。


「はい、奴隷商人ですね。これをどうぞ。」

「ありがとうございます。」


戦争が多いという事は戦闘奴隷が売れるはずだ。

特に貴族は命を狙われることもあるという。

護衛に奴隷が売れるかもしれない。

だが懸念が1つだけある。


「メレク様。門番に聞きましたがこの国は奴隷商人が多いそうです。」

「だろうな。」


これがその懸念だった。

競合相手が多いという事は商人としての腕前が問われるだろう。



1番大きな街へと入るとレンガで作られた家が多いのが目に入る。

道は舗装され、綺麗になっている。

しかし路地からは嫌な気配も感じていた。

メレクはため息を吐くと周囲を見渡す。

それだけで奴隷商人の商店が見える。


「これは思っているよりもキツそうだな。」

「ええ。それもかなり。」


ためしに奴隷商人の店へ入る。

そうすると奥には生気を失った奴隷が首輪で繋がれていた。


「ここはどんな奴隷を売ってるんですか?」

「ええ、基本的に何でも売っていますよ。」


店主が手もみをしながら近づいてくる。

その身なりは不快感を与える。

少なくとも俺はこんな所から奴隷を買おうなんて思いもしない。


「ちょっと見せてもらえますか?」

「はい、どうぞ!」


並べられている奴隷を見て近くにいた奴隷の手首を握る。


「…………。」


明らかに栄養失調の症状だった。

可哀想な気持ちはあるがこの奴隷には『才能』がない。

だが……。

手首を離すと店主へと向き直る。


「この奴隷はいくらだ?」

「この金額になります。」


提示してきた金額は安くもないが高くもない。


「わかった。」


その金額を店主へ渡すと鍵を渡され、奴隷の首輪を外す。


「この子を馬車に。」

「承知致しました。」


ファーストは黙って奴隷を担ぎあげ、馬車へ向かう。


「ありがとう。『いい買い物』が出来ました。」

「ありがとうございます。」


店主はニヤニヤしながらメレクを送り出す。



「なぜこの子を買ったのですか?」

「………この子にはファースト達の様な『才能』はない。」

「それは同意見です。」

「しかしこの子には別の役割をさせる。」


メレクが少し悪い顔をしながら笑うとファーストは自らの主人を恐ろしく感じた。

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