表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奴隷商人の矜持  作者: 夜
10/30

9話

サードをベッドへ寝かせると安心したのか眠ってしまった。


「何があったのでしょう?サードがやられるとは……にわかに信じ難いです。」

「俺も同じだ、ファースト。サードだけではなく諜報部隊の約半数が死んだ。」


眠るサードを横目にメレクは考えていた。

サードが捕まる事、そしてファーストが殺した魔術師の男。何の関係があるのかまだわからない。


「メレク様。サードは今日目覚めたとしても体力的にも質問するのは難しいかと思われます。ご休息なさったら如何でしょうか?」

「………ああ。」


ファーストの言い分に従い、寝室へと向かい、横になる。

早めにこの国を出た方がいいなと思いながら目を閉じた。


早朝起きるとサードがいる場所へと向かった。


「起きたか?」


ドアを開けるとそこには普段見られない元気の無いサードが座っていた。

それは体調不良によるものか、それとも任務を失敗した事かわからない。


「メレク様。申し訳ありませんでした。お手数をお掛けしました。」


深々と頭を下げるサード。


「あそこで何があったんだ?お前が捕まるなど考えもしていなかった。」

「………はい、私達は教会にいる枢機卿を調べておりました。」


それからサードは話し始めた。


どうやら枢機卿に接触したらしい。

これも大胆だが、サードからしてみればこの方法は確証があってやっているものだ。

だが予想外にも魔術師が5人ほど居たらしい。

そして魔術攻撃によって眠らされ囚われた……。

部下たちはそのまま逃げようとしていたが思っているよりも魔術師が強く、3人ほど殺す事が出来たものの、被害が甚大になってしまった。

サードを殺さなかった理由は不明だとサード自身不思議に考えていた。


「そうか……魔術師…か。」

「魔術師……昨夜殺した魔術師はその取り逃した内の1人だったのでしょう。残り1人が何処かにいるのでしょう。」

「ああ。だがこうなった以上この国から引き上げることが先決だ。ルーク侯爵の元へ行き、奴隷商売だけして引き上げるぞ。」

「承知致しました。」


メレクはセカンドとフォースに身支度をさせ、メレクとファーストはルーク侯爵の元へと向かった。


「ルーク侯爵はいますか?」

「はい。お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」

「商人のメレクです。」

「ああ!侯爵様からお伺いしております。どうぞ中へ。」


通された部屋は先日来た部屋と同じであった。


「よく来たな。どうだ?理由がわかったのか?」

「いえ、理由は分かりませんでした……ですがおおよそ予想は出来ております。」

「その予想で良い。聞かせてくれ。」

「……この予想は確証がないために金銭などは頂きません。私の予想としては教会の魔術師が貴方などを『呪って』いるのだと考えております。」

「………教会が?」

「はい、その証拠にこれをご覧下さい。」


ルーク侯爵の机に紙を広げる。

これは予め情報収集してもらったものだ。


「この『呪い』を受けた人々は明らかに貴族が多く……この国への不満を言った方々です。」

「………そうか。」


ルーク侯爵は椅子にもたれ掛かり窓から教会を見る。

再び顔をこちらへ向けると頷く。


「まぁ……その予想がどうであれ薬で完治出来る、もしくは多少マシになるだけでも良い。奴隷を売ってくれ。」

「承知致しました。セカンド10号をここへ。」


メレクが言うと部屋に黒髪の女性が入ってくる。


「この奴隷は家事や医療などに精通しております。戦闘技術は無いので家事奴隷としてお使いください。」


メレクはそれだけ言うと指を噛み、血を左胸にある焼印に落とすと光った。


「これでルーク侯爵の奴隷でございます。」

「ああ。………売って頂いて有難い。」

「それが商人ですので。」


メレクはお辞儀をし、金銭を貰うと部屋から出ていった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ