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第9話「勇者パーティー①」

「ケイオスケイオス! 今、話題沸騰中の噂を聞きましたか?」


 俺が宿で休んでいると、セリスが部屋に入ってきてそう口にした


「どうしたんだ、セリス。というか遅刻だぞ」

「すいません。昨夜は気分が高まってしまい、少々激しくなり過ぎてしまったもので。……あ、エッチな話じゃありませんよ?」

「へ~」

「ちょっと。そういう冷めた反応されるとこっちが恥ずかしくなります」

「どうせ、原稿が捗ったとかそういう話だろう? いつものことだ」


 セリスは、神官の身でありながら漫画を描くのを趣味としている変わり者だ。

 伊達に数年間、同じパーティで活動していない。彼女の行動パターンは大体読めてしまう。


「はぁ。寂しい人になりましたね、ケイオス。昔はもっと顔を赤らめたりと、可愛い反応してくれたのに」

「そんなことより話を戻せよ。噂がどうしたんだ?」

「えーっと、なんの話をしようとしてたんでしたっけ。……ああ、思い出しました。最近、カインが、ギルドに女性を連れ込んでいるそうです」

「そんなの昔からじゃないか」

「いえ、それが、連れているのは子供らしいんです。おおよそ、10歳くらいの」

「……彼奴、遂にやりやがったな」


 前々からカインは、ロリコンの気があると睨んでいたが、パーティーを追放されてからタガが外れたようだ。

 すると、エリーナが俺達の会話に横から入ってくる。


「セリス。多分、大事なのはそっちの話じゃない」

「いやいや、元パーティーメンバーが児童を連れ回しているのは大事だと思いますよ?」

「私が聞いたのは、カインがS級クエストを受けているって噂」


 到底信じられないことを、エリーナが言い出した。


「なんだって? カインがS級を?」

「うん。カイン、私達と分かれてからギルドのクエストを幾つも受けてるみたい。中には、S級の難関クエストも含まれていて、それを一日足らずで達成しているらしい」

「馬鹿な、彼奴がソロでS級を達成出来るはずないだろう? ゴブリンにすら勝てるか怪しいのに」

「今、ギルドではその話で持ちきりになっている」


 何だそれ。一体、どんな手品を使ったというんだ。


「おかげで、私達の評判が下がっている。あれだけ優秀なメンバーを、何故パーティーから追放したのかって」

「追放した理由は、明白だ。カインが、どうしようもなく弱かったからだ」

「……街の人達はそう思ってないみたい。実は、ケイオスじゃなくてカインの方が凄かったんじゃないのかとまで言われている」

「部外者が勝手なことを。……彼奴の何を知っているっていうんだ」


 どうせ、ホラ話だとは思う。

 口が上手い彼奴のことだ。調子のいいことを言って、それが拡大解釈されたとかっていうオチだろう。


「街の小さな噂なんて気にするな。俺達は、勇者パーティー。巨悪を屠り、真の平和をもたらすのが仕事だ」

「それが、相棒の話でもですか?」

「……彼奴との縁は、既に切ってる。今はもう赤の他人だ」

「寂しいことを言わないでください。貴方がそのつもりでも、私とエリーナはカインを嫌いになった訳ではないんですから」

「うん。カインを危険な目に合わせない為に、パーティーから抜けてもらうことに賛同しただけ」


 若干イラッときた。

 察してはいたが、セリスとエリーナはカインに好意を持っている。俺にとっては腹立たしいことではあるが。


「彼奴の穴埋めは済んである。今日は、勇者パーティーに新しく入ったメンバーを紹介する為、二人に来てもらったんだ」

「おお、ようやく新メンバーと会えるんですね!」

「S級冒険者のリック。初めて聞いた名だけど、どんな人なんだろう?」

「とても才能があって、勇者パーティーにふさわしい人格の持ち主だ。きっと二人も気に入ってくれると思う。……それじゃあ、入ってきてくれ」


 俺が彼を呼ぶと、部屋の扉がガチャリと開いた。


「は、はじめまして! 今日からこのパーティーに加入させていただくことになりました、リックと言います!」


 そこに現れたのは、ブカブカのローブに身を包んだ少年だった。

 彼を見て、セリスとエリーナは目を丸くする。


「えっ? この子がリックさん……ですか?」

「ちょっと幼過ぎるような。ていうか、幾つ?」

「今年で、九つになります」

「「9歳!?」」

「年齢は関係ないさ。大事なのは実力だよ」


 俺は、新メンバーに出来るだけ優しく接する。


「とはいえ、二人はリックの力を知らないだろうから、それを証明してもらう為にクエストを受けに行こう」

「えっ、今からですか?」

「ああ、折角だしS級クエストを受けようじゃないか」

「S級は、私達でも達成が困難。……大丈夫なの?」

「問題ないさ。そうだろう、リック」


 俺がリックに問い掛けると、彼はコクリと頷いた。

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