表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/35

第4話

 知らぬ間に泊まっていた宿屋でセリスと分かれの挨拶を終えた俺は、この街の冒険者ギルドに向かった。


 勇者パーティーを追放されてしまったので、その辺の面倒臭い手続きを済ませていく。これをしておかないと違法行為となって後々厳罰扱いされるのだ。

『冒険者』と聞くと、力自慢の荒くれ者みたいな奴らが大勢闊歩しているイメージがあり、実際に昔はそんな感じだったらしいのだがそれは過去のこと。現在は、規定が色々と厳しくなっていて、おかげで老若男女様々な奴らが冒険者として活動が出来る環境となっている。


 だからこういった手続きをちゃんと済ませておくのは、そういった人達のことを気遣う為にも必要な大事なことなのだ。

 そう自分に言い聞かせながら、俺はようやく規定に関しての書類を書き終えることが出来た。


「はい。確かに書類を受け取りました。お疲れ様です、カイン様」

「あ〜、働いた。もう何もする気が起きないぜ」


 書き物を済ませただけでこの疲労。

 しかし、これでは一切の稼ぎがないので、次にクエストを受注しなければならないのだ。

 もう俺は、勇者パーティーの一員ではないのでS級クエストを受けることが出来ない。今までより下級のクエストを選ばなくてはならなかった。

 下級クエストは、危険は少ないが報酬は微々たるもの。なので、出来るだけ高額な報酬が貰えるクエストを探してみる。


「そうでした。私、カイン様にお尋ねしたいことがあるんです」

「何ですか、受付のお姉さん」

「結局カイン様は、エリーナ様とセリス様。どちらの女性が好みだったんですか?」

「仕事の話かと思ったら、いきなり何を訊いてくるんだこの人!?」

「どうなんですか? お二人ともタイプは違えど美しい方々ですからね。私、同じパーティーに居た貴方の正直な感想が知りたいんです!」

「ええ……。まあ、どちらも良い女だとは思うけど、そういう目で見たことはないかな」

「ふむ、なるほど。では彼女達は、勇者ケイオス様が独占ですか。まさに、両手に花ですね」

「言い方。とはいえ、ケイオスはその辺疎いからな。女に興味が無いっていうか、生真面目過ぎなんだよ、彼奴」

「その点、カイン様は女性にだらしないですよね? 冒険者ギルドでも噂になってますよ」

「その噂は聞きたくないな」


 さて。お喋りはこの辺にしておくか。ソロで冒険者として活動していく以上、これからは自分のことは自分で何とかしないとならない。気を引き締めないと。

 しかし、どれを選んだものか……。

 散々悩んだ後、俺はようやく受注するクエストを決めた。

 森で暴れるオークの討伐。貴重な素材を採取するのに邪魔するので、狩りをしてほしいとのことらしい。


「んじゃあ、これ受けます」

「C級の討伐クエストですか。元勇者パーティーのカイン様なら、問題なく達成出来る難易度ですね」

「当然です。余裕で仕事を終えて帰ってきますよ」

「……何だかフラグの香りがする。ああ、それとカイン様」

「どうしました?」

「実際のところ、カイン様の好みの女性ってどういった方なんですか?」

「まだその話を引っ張るのか!? しかも俺、さっきもセリスと似たようなやり取りをしたぞ。……まあ、そうですね。敢えて言うならば」

「はい」

「10歳児くらいですかね」

「…………………………うわぁ」

「おい。そっちが訊いてきたくせにドン引きしてんじゃねえぞ」


 とんでもなく失礼な受付だ。仮にも客に対してなんちゅう顔してやがる。


「うわぁ、うわぁ〜。カイン様、うわぁ〜」

「喧しいわ。好みは人それぞれだろうが」

「それもそうですね。では、気をつけていってらっしゃいませ。ロリコン様」


 こいつ、絶対後で酷い目に合わせるからな。

 今に見ていろ。近いうちに凄いクエストを達成して、このギルド中を大騒ぎにさせてやる!


 *****


 そして、ここは街外れの森。クエストの内容に書かれてあったオークが棲息する場所である。

 俺は、道中で遭遇したゴブリンの群れに襲われて足蹴にされていた。


「ゴホッ! ガハッ!」

「ギャギャギャギャア!!」


 ゴブリン共が醜悪な笑みを浮かべている。なんとも浅ましい姿だ。

 いや、浅ましいのは俺の方だよ。マズい。やばい。このままだとマジで死ぬ。

 俺が天に向かって祈りを捧げたその時だった。


「ダブルホーリーランサー!!」


 一瞬の煌めきの後、二つの光の槍がゴブリン共を貫いたのだ。

 俺は、槍が飛んできた方を振り向く。

 そこに居たのは、金色の髪をしたとてつもなく美麗な少女だった。

『本作を楽しんでくださっている方へのお願い』


下にスクロールすると、本作に評価をつける項目が出てきます。


お手数おかけしますが、更新の励みになりますので、ご存知なかった方は是非評価の方よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
お読みいただき有難うございます
気に入ってくれた方はブックマーク評価感想 をいただけると嬉しいです

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ