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第1話

 俺の名前は、カイン。現在、恋人募集中。

 魔王討伐を目的とする勇者ケイオスのパーティーのメンバーで、職業は魔法使い。オリジナリティーあふれる最強の魔法を駆使して敵を撃退するパーティーの要とも呼べる存在、それが俺だ。

 しかし今日この日、俺は勇者ケイオスからとんでもないことを言い渡されたのだ。


「カイン、お前にはもううんざりだ。パーティーからお前を追放する」

「な、なんでだよケイオス! 今まで上手くやってきてたじゃないか!」

「うるさい! お前みたいな魔法使いは勇者が率いるパーティーには必要ないんだよ! もう代わりの魔法使いは用意した。さあ、今すぐ荷物をまとめて出ていってくれ!」


 ケイオスが鬱陶しそうに手を払いながらそう言った。俺は、虫じゃねーぞ。

 くっ! 何でこんなことに……。俺は勇者パーティーになくてはならないメンバーのはず。そうだ! これは誰かの陰謀に違いない!


 因みに説明しておくと、俺達のパーティーは勇者ケイオスを筆頭に、女剣士エリーナ、女神官セリス、そして最強の魔法使いカインの四人で構築されている。

 そうなると必然的に怪しいのはエリーナとセレナになってくる。彼女らのどちらかがケイオスに吹き込んで俺を追放させようとしているんだ!


 ずっと仲間だと思っていたこのパーティーを疑うのは心苦しいけど、俺は保身の為に鬼になるぜ!

 まずは、エリーナだ! 俺はこのクール系女子にズカズカと歩み寄る。


「エリーナ! お前がケイオスを唆したんだな!」

「違うわ。そんなことより今日の筋トレを早くしたいんだけど」


 くっ! 仲間が追放されそうになっているのに筋トレを優先してやがる!

 次はセリスだ!


「セリス! お前がケイオスを唆したのか!?」

「えっ? それって下ネタですか?」

「違げーよ!!」


 くっ! 神官とは思えない脳味噌ピンク女に、俺を追放するなんていう高等テクニック出来るわけがなかったか!


「なあケイオス。一体誰に何を吹き込まれたんだ?」

「吹き込まれた? それは違う、カイン。これは間違いなく俺自身の意思だ」

「な、何が駄目なんだ? 理由を教えてくれ」

「理由だって? そんなの聞くまでもないだろう。カイン、お前はお荷物なんだよ! 身体能力は下の下だし、肝心の魔法も大体が初級魔法しか使えない。お前がよく開発している【オリジナル魔法】だって、大した効果を発揮するものはごく僅かと言っていい! ……この際だからはっきり言ってやるが、カイン。お前は、完全に完全に邪魔だ!」

「そ、そこまで言うかよ……」

「俺はつい先日、S級冒険者で魔法使いのリックという人物をスカウトした」

「S級冒険者のリック? 聞いたことがないな」

「お前よりも遥かに魔法の才能がある冒険者だ。俺がこの目で見て実力を確認したから、間違いない。彼なら、みんなの役に立ってくれるだろう」


 まるで俺が役に立たなかったみたいな言い方だ。


「待て待てケイオス。俺は、ベテランの経験則がある。そんな何処ぞの馬の骨とも分からない奴なんて信用するもんじゃない」

「彼は、お前より信用出来る」

「……なあ、ケイオス。俺達、幼馴染みだろう? 親友だろう? 同じ村から旅立って、共に偉くなろうぜって誓い合ったじゃないか。あの頃のことを忘れちまったのか?」

「過去の話だ。今はまるで立場が違う。俺は、勇者。お前は、一介の魔法使いに過ぎない。今までは昔の馴染みがあったから付き合ってきたけど、それももう終わりにするべきだ」

「…………」

「これは、パーティーのリーダーである俺の決定だ。カイン、お前を追放する」


 ケイオスは、はっきりと言い切った。

 こうなれば、俺から言えることは何もない。


「……分かったよ」


 胸が締めつけられる思いをしながら、絞り出すようにしてそう口にする。

 本当に仲間だと思っていたのに、そう思っていたは俺だけだったのか?

 ふと、エリーナとセリスの方を見る。

 エリーナは、ダンベルを持って筋トレをしていた。セリスは、堂々とエロ同人誌を読んでいた。

 それを確認した後、俺はゆっくりと席を立つ。なるべく、親友を見ないようにして、荷物を手に取り宿を出た。


 ああ、これが追放ってやつなのか。

 何もする気が起きず、あてもなく街を彷徨う。

 一応、多少の金はあるので生活には困らない。勇者パーティー……元勇者パーティーのメンバーだったから、それなりの貯金はある。

 だけど金銭より、心の方が問題だった。

 このポッカリ空いてしまった穴を、どうやって埋めればいいんだ?


「あ~、そこのかっこいいお兄さ〜ん。もし暇してるなら、私と楽しいことしに行かな〜い?」

「行く〜!」


 俺は、美人のお姉さんに誘われて繁華街へと足を踏み入れた。

『本作を楽しんでくださっている方へのお願い』


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