魔物転生2日目 冒険者ギルド!
2022/8/18
大幅改稿しました。
とりあえず、冒険者ギルドに行きますか。収納していた魔物の素材を売って登録しま...見た目5歳なんですが行けるんでしょうか?まあいいでしょう。とりあえず行きましょう。
えっと、確かまっすぐ行ったら、あ、あれですね、ありましたありました。
ドアを開けて入っていきます。
ギルドの中は一角が酒場のようになっていて、残りの場所にそれぞれ『冒険者登録』『依頼受理』『達成報告』などの五つの項目が書かれた看板の下がるカウンターがいくつか並んでいます。
『冒険者登録』の看板がかかるカウンターが一つ、ポツンと浮いていますね。受付は強面の男の人です。ちなみにほかの所はごくごく普通のイケメンと美女。どちらも少し筋肉質には感じますが、異質なほどに屈強な姿をしているのは彼だけです。
早くお金が欲しいので強面さんの所に歩いていきます。
ざわっ
おいおいあの嬢ちゃん、サルズさんのとこに行ったぞ。
はぁ?ギルマスのところに?
大丈夫か?泣きださねぇ?
「すみません、冒険者登録をしたいのですが」
登録?あんなちっこい嬢ちゃんが?
うっそだろ!?
「あ゛?冒険者は嬢ちゃんみたいなのがやる仕事じゃねえ。さっさとママかパパんとこに帰りな」
それがいい。
そうだよな、危ないし。
誰かあの子つまみ出せ!
この人―――ギルマス、サルズさんでしたか、言葉は悪いですがとてもやさしいですね。
「残念ながら自分には母も父もいないのです」
「あ?死んだからここに来たのか?」
「違いますよ。死んではいませんです。この世にいないだけです」
今の自分は魔物ですし、この世界には母も父もいませんからね。
ゆえに先ほどは自らを生み出した神々が親である、と言いましたが―――
「死んでないのにいない?」「なんだそれなぞかけか?」
さっきからざわざわしてるのはモヒカンとイケメ...モヒカン?...まあいいです。無視しましょう。
「よく分からんが、登録したいのか?だが登録は12からで―――」
「それでは最悪、買い取ってもらうだけでも大丈夫です」
「―――素材は今から取ってくるのか?」
「いいえ、もうありますよ」
「どこに?」
「自分は魔法神の加護で時空魔法を使えるのでその中に」
本当は隠しておきたかったのですがね。魔物だとばれるよりはいいでしょう。
「そうか。ここで出せるか?」
「無理です。多いので」
「こ、ここに入らないほどあるのか?」
「ええ」
「なら裏の解体所に来てくれ。いや、俺が案内する」
「はい」
一瞬謎の葛藤をしたサルズさんの後についていきます。そのあとを他の冒険者たちもついてきます。何故?
=======≫ギルド裏 解体所≪=======
「おい、ゴラン!解体を頼む!」
「お?お前が来るなんて珍しいな。どんなのの解体だ?」
解体所の、サルズさんと同様に屈強な彼の人はゴランさん、と言うのですね。
「この嬢ちゃんが持ってきた魔物だ」
「何も持ってないじゃねえか」
「時空魔法の収納持ちらしい」
「そうか、嬢ちゃん、その魔物だしてみろ」
そんな簡単に納得するものなのでしょうか?いえ、サルズさんはそれほど信用されていると考えるべきですね。
「はい」
どさどさどさっ!大量の狼に、蜥蜴。あと亜竜。
「んだ、これ!弱くとも数が多く群れで襲ってくるのウルフに、体表が堅いロックリザード、果てには亜竜まで!これどこで取ってきたんだ?」
「生まれた森ですよ」
「嬢ちゃん、盗んでないよな?」
「おい!」
何故かゴランさんに疑われていますが...
ああいえ、見た目五歳ですからそりゃ疑いますか。
「丸ごとあるのがわかって言ってるんですか?盗んだりしたら、直ぐにばれて亜竜を倒した人に簡単に倒されますよ」
「あ、ああ、そうだな。悪かった」
自分の主張に納得したようです。
嘘だろ、亜竜まで...!?
俺らより強い。亜竜なら魔物としては最低でもB+ランクだ。
あの嬢ちゃん、すげぇな...ソロって事ぁ実質Aランクじゃないか。
ギルマス!これは登録させていいだろ。
こんな実力野放しにしておくとかありえねぇよ!
「これなら...登録できるぞ。流石に亜竜をソロ討伐は何処も放っておかないだろうし、余計にな。今から採決を取る。この嬢ちゃんのランクについて。Cランクから、Bランクから、すぐに昇格試験を受けてAランク。どれがいいと思う?」
ギルマス、仕事が早いですね。
試験でAランクでいいんじゃね?
亜竜を狩ってきてるんだからすぐにAランクでいいだろ。
同意!
さんせー!
「どちらにしろ1件は人を殺す依頼を受けてもらわなければいけない」
「だったら俺が推薦しようか?その子は絶対人を殺すくらいわけないし。感情面も特に問題ないだろ う。戦力は言うまでもないし、神の寵愛受けてるから問題ないだろう」
「アラン!?お前戻ってきたのか!?」
「ああ、戻ってきたよギルマス。結構ボロボロだけどな」
「...んで、神の寵愛ってのは?」
「さっき門のところでその嬢ちゃんが主神様と会話してるのを見た。主神様はすべての神々の寵愛を受けてるって言ってたな」
おや、見られていたのですか。
マジかよ
やべぇ
すげぇな嬢ちゃん
ざわざわ
「静かに!ギルドマスター権限、およびSランク冒険者アランの推薦により、Aランク冒険者とする!」
Aランクですか。目立ってしまいましたが、身分はしっかり保証されるらしいですし、充分ですね。
すげぇぇぇぇぇ!
俺らより圧倒的に若いのに!
「ありがとうございます。そういえば名前を言っていませんでしたね。パンドラ、です。以後お見知りおきを」
「ああ、Aランクの手続きをするから上に来てくれ」
「はい」
=======≫ギルド長室≪=======
「以上で登録は終了だ。何か聞きたいことはないか?」
「特にありませ...そうだ」
「なんだ?」
「質問というよりお願いなのですが、もし国や貴族から自分への指名依頼が来ましたら、基本断っておいてください。この国の危機なら助力しますが、キゾクサマの戯れに時間を取られるくらいなら、救える命を救いたいです」
「そうか、わかった。ギルドはあらゆる国にあるが、その国には属さん独立組織だからそのくらいは大丈夫だ。それだけか?」
「はい。ありがとうございました。では、なにか依頼はありますか?」
「いや、残念ながらもう夜中だ。チビッ子は休みたいだろう」
一日にも満たない付き合いですが、この人は信用できます。言っておきますか。道づ...協力者はいるに越したことはありませんし。
「別に睡眠はいらないのですが。眠るときはあくまで嗜好のために眠るだけですし。ああ、ギルマスには伝えておきましょうか...キメラ。それが自分の種族です。絶対に秘密、ですよ(ニコッ)」
「は?」
こうして彼らの夜は更けていく...
この終わり方をしてみたかった!
余談―――ある冒険者、酒の席にて
「いや、にしてもあのパンドラっていう嬢ちゃんすごかったなー」
「そうだな......ところで、今日ずっと気になってたんだが」
「なんだ?」
「その...髪型は何なんだ?」
「これか?昨日異国の“リハツシ”って名乗る床屋を見つけてな」
「おう」
「なるべく面白い髪形にしてくれって頼んだら、いつのまにか寝てて」
「...おう(呆れ)」
「起きたらこうなってた!」
「...そうか(諦め)」
「ちなみに“モヒカン”って名前らしい!!」
「聞いてねぇよ...」