|深淵《アビス》からの使者
私は、何処にいる?
―――私は、此処にいるよ
貴女は、私なの?
―――そうとも言えるし、そうとも言えない
貴女は、何?
―――私は貴女。貴女は私と今から殺しあわなきゃいけない
何故?
―――貴女が魔王に為ったから。守るために、魔王に為ったんでしょう?だったら起きて。じゃないと、殺しちゃうよ―――
ふっと、パンドラの目が覚めた。
「此処は、何処?」
「此処は貴女の中。今から貴女は、私を殺さなきゃいけないの」
(どういう、ことだろう)
パンドラは考える。考えても答えが出なさそうなので聞いてみることにした。
「何故?」
「貴女が深淵魔王に為ったから。深淵の、創世の知識を手に入れたものは、深淵の使者に会うんだよ。深淵の使者に勝たなきゃ、貴女は死んじゃう。だから、私と戦って、勝ってね」
(ああ、そうなの)
パンドラは冷めていた。相手がとても自分より強そうには見えなかったからだ。
「うん、わかった」
(つまり、戦って、勝てばいいんだよね?それだけなら、簡単だ)
深淵の使者は強い。だが、パンドラはそれとは隔絶した強さを持っていた。
「それじゃあ、始めましょう?」
「うん」
そして、相手―――便宜上、以下使者と呼ぶ―――が、魔法で攻撃してきた。だけど、
「遅い。そんなもので私に勝てるわけないでしょ」
「なっ⁉」
遅い、パンドラにとってはあまりにも遅すぎる。種族が混沌魔王に為ったことで、あり得ないくらいの補正が付き、パンドラのステータスはこんなことになっていた。
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ステータス
種族:混沌魔王(粘体魔法生物・古代神龍帝・魔龍帝・不死王・不死鳥・豚魔王)
Lv.1
名前:パンドラ
HP:1000000000000/1000000000000
MP:859798899900/859798899900
物攻:50000000000
物防:∞
魔攻:1000000000
魔防:1900000000
速度:6890000(7000000)
器用:9000000
スキル
種族
物理無効 状態異常無効
通常
魔王
加護
覇者
ユニーク
不死ノ神帝 龍ノ神帝 粘体ノ神帝 演算ノ神帝 混沌ノ神帝 暴食の帝
称号
異世界からの転生者 最凶 神々の寵愛 ネームドモンスター 世界の環から外れた者 精霊に愛されし者 ユニークモンスター 庇護者 眷属持ち 人間との共存 魔王 神の血 神々の希望 混沌 覇者
加護
主神パラントールの加護 副神カナーレイの加護 娯楽神アルナの加護 魔法神グライトニスの加護 戦闘神クライトレスの加護 鍛冶神ヘパイストスの加護 元素神エレメントの加護....etc. 邪神ウリトレンサの加護 精霊王・精霊女王の加護 各属性精霊の加護 創造神の加護
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この中で1番重要なのは創造神の加護と、《覇者》である。《覇者》は、ユニークと《魔王》、《~耐性》《~無効》以外の既存のスキルをすべて使えるようになるというもの。そして、このスキルは創造神の加護によってもたらされたスキルである。そしてこのスキルは、パンドラの持っている《演算ノ神帝》と相性がいい。あり得ないくらいにいい。《演算ノ神帝》がその時に合ったスキルを選択してくれるからだ。つまり常人なら膨大な情報量に負けて使いこなせないが、パンドラは使いこなせるのだ。
ほら、よく見てみなよ。称号の最強が最凶に変わっているだろう?
と、そろそろ使者とパンドラの戦いを進めようか。
とはいってもパンドラが蹂躙しているんだけどね。ただ冷たい目で使者を殴って蹴って時にはすごい威力の魔法を叩き込んでいる。本当にそれだけさ。使者がかわいそうだよ。
「も、もう...や...め.....」
「はい?なんて言ったの?全然わからなかったよ?あなたを殺せばいいんでしょ?早く死んで?」
辛辣である。と思ったら使者が逃げ出した。
「あ、あの、もう深淵魔王として認めるのでもうやめてください」
使者は半殺し状態に怖くなってDO☆GE☆ZAをした。どんだけ怖いねんパンドラ。
「あっそ。んじゃ元に戻して?」
「は、はい(泣)。そ、その前に知識を移させてもらってもいいでしょうか?」
そりゃあそうなりますわ。
「いいよ」
使者の手が頭に触れると、パンドラの意識が薄れていき、膨大な知識が頭の中に流れ込んできた。
そして、明るい日差しに目が覚めた。
ただの蹂躙になってしまった件について。
深淵の魔物を軽く蹂躙するってどんだけ強いんですか?