閑話① 預けられた3匹 アミル視点
「キャー可愛いわねー」「ねー本当にかわいいねー」
私たちは現在、女の人に囲まれています。お姉さまに冒険者ギルドに預けられたのですが、めったにいない白狼と言うことで、女の人が寄ってきたのです。
因みに、カイナとシラルも囲まれています。シラルはお姉さまの服を作っているのですが、その周りを女の人が囲って目を輝かせてみています。
カイナは珍しい龍種なので囲まれています。
と、男の子と女の子がギルドに入ってきました。12歳――――ギルドの加入できる最低限の年齢――――程の見た目です。6人いるので、パーティーでも組むんでしょうか。
「お!すげえ!狼とドラゴンがいるぜ!従魔にしようぜ!」
「馬鹿なの?レイト。従魔だから所有者と一緒にここにいるに決まってるじゃない。そうじゃなきゃ暴れるわよ」
所有者がいなくても暴れるはずないじゃないですか。
「だけど所有者はどこにいるんだ?危ないだろ」
「いないからここに保護されたんじゃねーの?テイムしよーぜ!テイム!」
姉さんが死ぬわけないじゃないですか。第一あんなクソガキが私をテイムだなんてふざけてますね。
「お?お前ら登録しに来たのか?」
「そうだぞ!おっちゃん!」
「あの狼とドラゴンは所有者いるぞ?第一、所有者が死んだなんて言ったら駄目だぞ。あの従魔が怒るからな」
あたりまえです。自分の主が死んだ、なんて言われたらどんな従魔でも怒ります。
「へえ、どんな人なんだ?その所有者って」
「一言でいうなら、最強の幼女」
「神に愛された幼女」
「え?どういうことだ?幼女?」
見た目幼女ですけどさすがにそんなこと言ったら怒りますよ。
「ああ、見た目は5歳くらいなんだ。だがしかし...」
「とてつもなく強い。今はAランクだが、絶対大物になる」
そうでしょうそうでしょう。あたりまえですね、お姉さまなんですから。
「へえ。実年齢はいくつなんだ?」
女の子の年齢を聞くなんて失礼ですよ!
「本人は5歳って言ってたが、わからねえんだよ。だれもしらねえ」
「預けてるってことは、何か危険な依頼に行ってるんですか?」
「うーん。知らねえなあ。ギルマスに内密案件で依頼受けたらしいからなぁ。お?ギルマスいるじゃん!おーいギルマスー!聞きたいことがあるんだがー!」
「ん?なんだ?お前が聞きたいことって」
「パンドラの嬢ちゃん今何の依頼を受けてるんだ?従魔を置いていくなんてそんなに難しい依頼なのか?」
「ああ、ランクだけで言えばSSランクだな。それ以上はさすがに言えないが」
「はぁ⁉ギルマスふざけてるのか?Aランクの嬢ちゃんにSSランクの依頼受けさせるとか!」
はあ?お姉さまが魔王程度に負けるはずがないじゃないですか!
「パンドラなら大丈夫だ。あいつはお前が思っているよりも強い」
「はぁぁぁぁ?信じられるかよ、そんなこと!」
「だから大丈夫だと。なんたってあいつは」
《全ての生物に通達》
《暴食魔王が入れ替わりました》
《新たな暴食魔王はパンドラ》
《深淵魔王の誕生に拍手を》
「「「「「「「は?」」」」」」」
ああ、お姉さま、やったのですね....しかも深淵魔王に...さすがお姉さま!
「わおーーーーーーん」
狼の遠吠えです。お姉さまに聞こえますように。
「パ、パンドラって...」「た、ただの同名だろ」「ギルマスはどう思...」
「パンドラは、魔王に為った」
「な、何でギルマスがそんなこと...」「パンドラの嬢ちゃんは魔物だったっていうのか?」
「パンドラは、人間との共存を望んでいたからここに来たんだと思う。そうじゃなかったらこんなギルドとっくに潰されてるさ」
ふん、よくわかってるじゃないですか。
「あたりまえですね。お姉さまは優しいのです。人間と言う下等生物に対しても対等に接しようとする、優しい心の持ち主なのです!」
(((((((すごい誇らしそうだな....)))))))
=======≫ファールーン王国 王宮≪=======
「なっ!暴食魔王の代替わりだと⁉しかも今代は深淵魔王⁉」
「お、王よ!どうするのですか?」
「ふむ、そうだな。今代が手を出してこなかったら何もしない。手を出してきてもまだ大丈夫だろう。生まれたばかりだからな」
「そ、そうですか...」
「王よ!もし我らの想像がつかないほどに強力だった場合どうするのですか?」
「抵抗はする。最終的に滅んでも、魔王に大きな損害を与える。まあ、もしもの話だ。まだ考えんでもいいだろう」
(さあ、どう出てくる?今代の魔王、パンドラよ...)
ここはこうしたほうがいいかも...などの意見は参考にしますので、どしどしお願いします!
次は特殊な話です。