魔物転生4日目 従魔登録
「ギルド長、完全に図ってましたよね?」
「なんのことだ?それよりもその子たちは?」
さらっととぼけて話を変えるギルド長。いたずらで称号を上げておきましょう。「狸」と「狐」どっちがいいですかね?...どっちかと言うと「狐」ですね。
「この子たちは自分の従魔となった子たちですよ」
「従魔?人間に見えるが...」
「ああ、カイナ、アミル、人化を解除してください」
「うん、姉さん。〈人化〉解除」
「はい、お姉さま。〈人化〉解除」
光に包まれていき、そこから現れたのは白銀の狼(尻尾蒼)と、黒い小竜です。やはり龍種とは珍しいのか、皆さん唖然としています。
「そ、その子は?」
いち早く立ち直ったギルド長が聞いてきました。
「この子は、土人のシラルです」
本当の種族は言いません。もしばれたら狙われるかもしれませんからね。
「で、この子たちの従魔登録をしたいのですが」
「あ、ああ。おい、従魔登録だ!パンドラ、カードを出してくれるか?」
「?はい」
カードを手渡します。なぜそこまで焦っているのでしょう?
「白銀の狼なんて聞いたことねえぞ...」「しかも龍種なんてテイムできるはずがねえ」「もしかしたら卵を見つけたのかも...」「それでもあり得ねえだろ」
なるほど、そういうことですか。まあもう今更なのでいいでしょう。ああ、そうだ。目的を忘れていました。
「ギルド長、相談したいことが」
「お?なんだ?」
「おそらく国家機密レベルなので、何か秘密の話をできるところはありますか?」
「あ?ああ、んじゃあ俺の部屋に来てくれ」
「はい」
従魔登録も終わったので行きますか。
=======≫ギルドマスタールーム≪=======
「で、なんだ?」
「サルズさん、自分に、魔王討伐の依頼を受けさせてください」
こういうのは率直に言うに限ります。
「...神様に言われたのか?」
「ええ、主神様に。自分が魔王となれば、すべての国に神託ができる、とも」
「どういうことか教えてくれ」
自分はパラン様に言われたことを事細かに話していきます。そして話終えるとサルズさんは
「いいぞ」
と一言だけ言いました。
「へ?」
思わず変な声が出てしまいました。
「便宜上Aランクにしているが、お前は実質SSSランクはある。魔物で言えば災厄級は軽くあるからな。お前は絶対死なないから、な。それに魔王になっても敵対はしないんだろう?だったらいいさ」
「そうですか。ありがとうございます。自分にとってこの町は故郷です。絶対に帰ってきますね、サルズさん」
「おう、頑張れよ、未来の魔王様」
そして、依頼を受け冒険者ギルドを出ていきます。...あれ?何か忘れているような?...忘れるということはどうでもいいということなので別にいいでしょう。
その夜、ギルドにサルズの悲鳴が響き渡ったという。
「ああ、そういえば狐の称号あげてましたね。忘れてました」
のちに犯人はそう語った。
会話、多いですかね?