鬼
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森で囲まれ、殺風景が広がる何もないある田舎。ここは鬼ヶ村と呼ばれていた。
真っ赤な夕日が沈みかけ、森の木も緑というにはやや黒く空を飛ぶカラスの羽の色に近かった。
「いーち、にーい、さーん・・・」
僕はかくれんぼをしていた。
元々無気力で一人でいるのが好きだった僕は今日の朝、森の中を一人で散歩しようとしていた。
最近あまり部屋の中から出なかったので気分転換になるかと思い、少し楽しみでもあった。
しかし運悪く友達とばったり会ってしまい、半ば強制的にかくれんぼに参加させられることになったのだ。断ることもできたがみんなの気迫に圧されなんとなく断るのをためらった。
その一瞬の間は大きく、無条件降伏せざるをえなかった。
どうやら人数が足りないらしい。田舎なのでしょうがないことではあるが、いないのならいないなりに他の遊びはないのかと考えたが、まぁやっぱり田舎なのでしょうがないのであった。
「なんで僕が鬼なんだよ・・・ジャンケンとか不公平だろ」
咄嗟にジャンケンをされると何故かパーを出してしまう癖は死ぬまで治らないと思われるほどにどうしようもなかった。
「はーち、きゅーう、じゅう」
もう周りからはみんなの気配は消えていた。
しかし、一向にやる気は起きず探す気にはなれなかった。このまま捜すふりをして一人散歩をするのもいいかもしれない。もうすでに今は僕一人の時間だった。そうして僕は歩き始めた。
「もう家に帰ろうかな・・・そうしよう。」
不思議と足が軽く、とても愉快な気分だった。誰かの足にとまった蚊を叩く音がなんとも心地よかった。自分でも気づかないうちに僕はかくれんぼを楽しんでいたらしい。
さっきから何人か何か言いたげにこっちを見ている。バレバレであった。
きっとみんなも僕がやる気がないのに気づいている。
それでも言い出せないのはきっと約束のせいだろう。最後まで見つからなかった人にジュースをあげると、そんなことをいったような気がする。
「ちゃんと捜してよ!」
不意に誰かの声が響き渡った。
「そうだ、そうだ!ぶっ飛ばすぞ!」
あ、やばい。あれはかの有名な武くんではないか。彼も参加していたのか?!
『鬼ヶ村のギャング』あまりに凶暴なため僕はそう呼んでいた。
「てめー覚悟は出来てんだろうな!?」
マジでやばい!なんだかカラスの数が増えている気がする。
情状酌量の余地は・・・せめて執行猶予だけでもないものかと願ったが、そんなものはあるはずもなく言われたとおり死を覚悟した。
いや、やっぱしてない!
「待ってくれ!こっちのいいぶっ、グハッ」
ブシュッ!グチャッグシュッ!
神は死んだ。そう空は告げていた。
不快に思った方すいませんでした