7話
私は祐一さんに言われるまま、ひたすら漬け物作りをしていた。そして、一時間がたった。ついに私の漬け物作りが終わった。手がベタベタした。でも、楽しかったというのが、私の率直な感想だった。
「うまく出来たじゃないか。才能あると思うぜ」
私はそんな一言で、有頂天になった。自分は出来ると、うぬぼれた。私が得意気になっていると、祐一さんは私を見つめた。
「これなら任せられるな。心配もない」
「そんなことは......」
私は謙遜した。と、ふと思った。もし、私が漬け物作りができるなら、祐一さんとお別れしなければならない、と。それは嫌だと思う自分がいた。そこで気づいた。私は祐一さんに恋をしたのだと。そうと気づいたとたんに顔が熱くなった。はじめは思いもしなかった。強盗に恋するなんて。そして、非現実的なものであったはずの生活は、今では普通のものになっていた。
「どうかしたのか?」
「あ、いえ。ただ、さみしいなって」
「俺は、今すぐにでもお前を連れてどこかへ逃げたい
。それこそ、誰も来ないところへ」
私は固まった。まさか彼がそんなことを言い出すとは思っていなかったのだ。それと同時に、私の体温が急上昇した。
「お前が好きだ。こんな犯罪者に言われても迷惑だよ
な」
私は、思い切り首を横に振った。そして気づけば私は祐一さんの手を握り、訴えかけていた。
「そんなことありません!嬉しいです。私も、気づい
たらあなたに惹かれていた......」
そして私は涙を流しながら告げた。
「あなたが好きです」
祐一さんは驚いた顔をしていた。そして、宝物を扱うように私を抱きしめた。私は彼を受け入れた。私と祐一さんはしばらく抱き合っていた。