4話
「まあ、これは言い訳にしかならないが」
と強盗は言い、話始めた。
彼が幼い頃だったと言う。家族仲良く暮らしていた。ただただ幸せに暮らしていた。そんなときだった。彼の家に、犯罪者が入ってきた。その人は、国際手配の殺し屋だったらしい。殺し屋はもちろん人殺しだ。その人は強盗以外の家族全員を亡き者にした。強盗だけは、傷が浅かったため助かった。しかし彼が目覚めたとき、目の前には家族の死体が転がっていた......彼の家は代々漬け物を作っていた。せめて、漬け物作りは続けようとした。が、就職難の今、仕事は見つからずにいつしか貯金がきれた。漬け物作りの資金が必要だったことで今に至ったらしい。
「本当にくだらないだろう。漬け物のために強盗なん か」
私は、ぶんぶん首を横に振る。私は話を聞いて涙を流していた。
「くだらなくなんかありません。確かに言い訳だし、
強盗はしちゃいけないことですけど......」
強盗は、私の言葉を聞いて今にも泣き出しそうな顔をした。そして微笑み、私に謝った。私ははじめて見せる彼の表情に、ドキッとした。
「こんなことで人質にして悪かった」
そう言って、彼は謝り続けた。
「家を継ごうって気持ちはすごいです。私は逆でした
から」
「家出か?」
「はい......あの、私、あなたの漬け物が好きです。」
彼は、笑顔を見せた。根っからの悪人ではないようだ。いつしか、私は彼に惹かれていた。
その日は、二人でずっと語り合っていた。私は強盗に心を開いていた。今までこんなことはなかったので、この気持ちが何なのかは分からなかった。
次の日もそのまた次の日も壺の整理を手伝った。今までは嫌だった整理も一生懸命になれた。私は不思議な気持ちに支配され、しばらくは思い悩んだ。ふと、何かが頭の中をよぎった。
「そういえば、あの人の名前知らないかも。いつまで
も強盗って呼ぶわけにはいかないし......」
思い立った私は、すぐに強盗の元へ向かった。
「あの、名前。えっと、教えていただけませんか?」
「そうだな。お前は何となくだが信用できる気がする
しな」
私は、彼から名前を教えてもらった。