3話
「えっと、この壺はどこにおけば」
「上から2番目の右から5番目の棚に」
私は強盗と漬け物の壺を整理していた。彼が漬け物オタクなのか、ただ単に好きなだけなのかはよくわからないが、とにかく壺が多かった。
「よし、今日はこれくらいで良いか。飯食うぞ」
「は、はあ......」
私は間の抜けた返事をし、彼の用意してくれたご飯を食べた。結局壺の整理は日暮れまで続いた。かなり疲れた。何せ壺の数が半端じゃない。かなりの体力を使ったため、この日の夜はぐっすり眠れた。その日も夢を見た。昨日と同じ夢を。
「待って!」
私は涙を流していた。またかという感じで、それからはなかなか寝付けなかった。
強盗に人質にされてから、はや二週間が過ぎた。毎日のように壺整理を手伝わされた。それでもまだある壺には恐れをなす。壺を見るのに恐怖を感じるなんておかしな話だが、本当に怖い。いろんな意味で怖い。
「よし、今日はここまでにするか。ほれ、ご褒美だ」
と強盗は言い、私の口に何かを放り込んだ。
「あ、美味しい。これ、べったら漬け?」
「よくわかったな。でも、市販のよりもうまいだろ」
私は、嬉しそうに話す強盗をじっと見ていた。漬け物のことをとても楽しそうに話している彼を見て、笑みがこぼれた。それから、ずっと彼の漬け物の話を聞いた。その日の夜には漬け物が出た。
夕食を食べたあと、強盗が私の方をじっと見ていることに気づいた。
「あの、何か」
「悪かったな。犯罪者が謝るなんて変だが」
「えっと、どうして強盗なんか」
強盗は、しばらく黙ったままだったが、やがて口を開いた。そして話始めた。