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21話

(私の寿命がもって、あと一週間......)

私はその言葉だけで大ダメージを受ける。頑張ってもっても一週間、ということは祐一さんが戻ってくるギリギリまで。それでも、もてばいい、彼に会えたらいい。でも、もし会えなかったら......そんな考えが私の頭の中を駆け巡る。するとお医者さんとお母さんが入ってきた。お父さんはなにやら手続きをしているみたいだ。

「ミチカ、起きたのね。よかった.... 」

そう言って私を思い切り抱き締める。優しさが今の私には苦しかった。こんなに自分を愛してくれる人を残して行ってしまう、それがとてもつらい。でも、私には何もできない。足掻くことしか、今を精一杯いきることしかできない。どうしてこんなにも無力なのだろうか。人間は簡単に死んでしまう、似たようなことを祐一さんに言われたことがある。本当にその通りだ。会いたい。祐一さんに今すぐ会いたい。私は涙を流して目を閉じる。まぶたが重い。以前と同じ......


「また来たのか」

「誰......」

私が目を開けるとそこには扉の前のあの人がいた。私はお迎えが来たのだと、瞬時に察した。

「いいのか、お前はやるべきことを全部したのか?

悔いが残らないのか?」

その人は何度も問ってくる。私は答えられなかった。怖かった。悔いは残っている。でも、心臓が停まってしまえば私の意思と関係なくこの扉の向こうへ行ってしまうのかもしれない。そう思うと怖かった。

「お前の覚悟はそんなに軽いものだったのか?」

「違う!」

今度は迷わなかった。軽くなんかない、逆だ。何度も迷い、悩んだ。そこで私はあっと気がつく。私が前に言った言葉。

ー私には待っている人がいるー

それで私の覚悟が決まった。あの人へ向き、私の本当の覚悟を告げる。あの人は優しく微笑んだ。

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