20話
刻々と時は進んでいき、あの日が一週間後に迫ってくる。ここまでが長かった。でも、これからがまた長いんだろうな、とか考えながら過ごしている。それでもあと一週間、その言葉だけで胸がドキドキする。いつも会っていたらそこまでないのだろうけど、会ったときに心臓がどうにかならないか心配だ。病気の悪化ということではなくて、気持ちの方だ。平静を装おうと思っているけど、それがまた難しい......お母さんにはクスクス笑われるし
「私って分かりやすいのかな?」
そんなことを考えていると、部屋のドアが開いた。
「お母さん、どうしたの?」
「あのね、ケーキを作ろうと思って。どう?」
「うん、いいんじゃない。私も手伝いたい!」
それじゃ、とお母さんと一緒にキッチンへ向かう。準備は完了している。それにしても久しぶりのケーキ作り、楽しみすぎて笑みがこぼれる。新聞を読んでいるお父さんは私をチラッと見、また新聞を読み始める。その横顔が、微笑んでいるように見えたのは私の気のせいだろうか。そんなことを聞くこともできないので、早速ケーキを作り始めた。
「ケーキ作り久しぶりかも。ずっと独り暮らしや、
病院暮らしだったから」
「そうねぇ、私も久しぶりに作るわ」
そんな他愛ない会話を交わしていた。その時だった。バタッー
「ミチカ?......! ミチカ! しっかりしてミチカ!」
そこで私の意識が途切れた。
目が覚めたとき、見覚えのある病室にいた。外から、わずかだったが声が聞こえた。その声に耳をすます。
「え......」
私の耳に届いた声は絶望的なものだった。何も考えられないほどに......