表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/24

16話

"駆け落ち"その言葉を聞いて驚く。まさか、と自らの耳を疑った。戸惑っている私をよそにお父さんは話を続けた。

「お父さんは施設で育ったんだ。お母さんは裕福な暮

らしをしていた。出会ったのは、仕事場で、一目見

てお母さんに恋した。両思いだったみたいで付き合

い始めた。お父さんはすぐにお母さんの両親に挨拶

にいったが猛反対された」

お父さんはそこで言葉を切った。私はすぐにその先の言葉が分かり、お父さんに言う。

「だから、駆け落ちしたんだ......」

うん、とお父さんはうなずく。しかし、さらに続けた。

「お腹にな、お前がいたんだ。駆け落ちして一年経っ

た頃だった。だからお母さんの両親に会いに行った

。そしたら許してくれたんだ。娘、お母さんに苦労をさせないという条件付きで」

そっか、と私は呟く。でも、なぜ今この話をしたのか私には分からなかった。それを聞こうとしたときお父さんが私の目をじっと見つめた。

「何?」

お父さんは私の言葉を聞き、ふぅ、と軽い深呼吸をして言った。

「もし、お前が話したいことが祐一という青年のこと

だったら......」

私はその言葉にドキッとする。祐一さんのことは両親には言ってない。ましてや好きだなんて......そんなの言えるわけなかった。だから今日、言おうと思っていた。ここで否定されれば、私は耐えられないだろう。私が、怖くてうつむいた時だった。

「ミチカは祐一君が好きなんだろう?」

私はお父さんの一言で金縛りにあったかのように、体がびくともしなくなった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ