15話
命に関わる大事を乗り越えて1ヶ月。以来私の体調は好調だった。お医者さんはひどく驚いていた。今では外出も普通に出来るようになり、時々は刑務所に行って祐一さんと会話をする。体調が良くても前と状態は変わっていないため、時間が決められている。それでも、以前よりは気持ちも明るくなった。相変わらず苦しみと言うものはある。
今日は検査を受けている。お金はかかるが、両親は進んで検査を受けさせている。心配してくれているのだと嬉しくなる。でも、私は隠し事をしている。祐一さんのことを。許してくれない、そんなのは火を見るより明らかだ。そして、決心した。
「お母さんとお父さんに話す。気持ちを一生懸命伝え
たらきっと......」
私は前向きに考えて、両親がお見舞いに来るのをハラハラドキドキしながら待った。
ガラガラー
「お見舞いに来たぞ」
「お父さん......」
ついうつむいてしまう。
「体調が良くないのか?」
「実は話したいことがあって......」
するとお父さんは近くの椅子に腰かけた。お母さんは今日はいないようだ。そして、私の口は何度も、開いては閉じてを繰り返していた。お父さんはずっと待っていてくれた。
「あのね」
ようやく声を発したがそれ以上は出てこなかった。するとお父さんが話し始めた。
「お父さんとお母さんは駆け落ちしたんだ」
いきなりの言葉に私は驚きを隠せないでいた。