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11話

「心臓病......どうにかして治りませんか?」

私はお医者さんに問う。でも、お医者さんはうつむいて首を横に振る。

「病気の進行を遅らせることはできますが、治すのは

不可能だと......なぜ放っていたのですか?異変に気づ

いたはず」

今更ながら反省する私。分かっていて聞いたがやはり治らない。もうどうにもならないのだと私は自負していた。私は怖かった。別に死ぬのが怖いとか、そういうものではなく、祐一さんと一緒にいられなくなるのが怖い。二度と彼と話すことができなくなる。それに、彼との約束が果たせない。「別れ」というものが私にとっての一番の恐怖なのだと気づいた。

「......余命は、どれくらいですか?」

祐一さんは目を見開く。驚いていた。お医者さんは隠す気は無いようだった。

「もって、あと「待ってください!」」

私は話をさえぎって、祐一さんにこう告げた。

「祐一さんは出ていて。お願い......」

祐一さんはその場から動こうとしない。私はそんな彼を無理やり追い出してもらった。お医者さんは「本人の意思なので」と部屋から追い出した。私は彼の後ろ姿、悲しそうな背中を見て胸が苦しくなる。そしてお医者さんは告げた。

「もって、あと1年でしょう」

目の前、頭の中は真っ白になる。私は言葉が出てこなかった。1年、そんなのはあっという間に過ぎていく。約束どころじゃない。祐一さんが捕まってしまえばもう二度と会えなくなってしまう。そんなのは嫌だ。お医者さんはそのまま病室から出ていった。入れ違いに祐一さんが入ってくる。彼はじっと私を見つめていた。私はうつむいた顔をあげられなかった。

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