10話
「ミチカ! しっかりしろ!」
誰かが私の名前を呼んでる......あぁ、ボーッとする。私、死んじゃうのかなぁ、まだ死にたくはないな。祐一さんとの約束を果たしていない......
「ミチカ!」
「!?」
私が目覚めたとき、目の前には心配そうな祐一さんの顔があった。私はムクッと起き上がる。焦点があわない。私の意識は朦朧としていた。すると、祐一さんが思いきり抱きしめてきた。
「祐一さん?」
「よかった、無事で。本当によかった」
私は気づいた。祐一さんにものすごく心配をかけたことを。
「ここは......?」
「病院だ」
私は青ざめる。
「どうして連れてきたんですか?」
「心配だからに決まっているだろ。お前が苦しむくら
いなら捕まったほうが断然いい」
私は謝る。何度も何度も謝る。祐一さんは優しく抱きしめてくれた。私の目からは涙がこぼれた。不安と嬉しさが私のなかでごちゃごちゃになる。私は祐一さんにしがみついていた。離したくなかった。ずっとこのままの時が続いてほしいと思った。すると白衣を着たお医者さんが入ってきた。私のところへ来ると、話始めた。
「単刀直入ですが......」
と、お医者さんは咳払いをする。そして衝撃的な言葉を聞いた。
「心臓病、それがあなたの病気です」
「心臓、病......」
私の思考回路はショートしてしまった。私の家系は健康的、病気なんてなるはずがない。そう高をくくっていた私に現実というものが突きつけられた。