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私の大切な幼馴染

作者: 尚文産商堂

幼馴染がいると言ったら、どんなことを考えるだろう。

私の幼馴染は、二人いる。

それも、両方とも男だ。


「おーい、帰るぞー」

「あ、ちょっと待ってて」

高校2年生の私は、今は料理部にいる。

でも今日はお休みで、幼馴染の一人と一緒にかえることにしていた。

「そういえばね、井野嶽先輩が、明日料理を教えてくれるんだって」

「よかったじゃんか」

彼が言ってくれる。

「そういや岩嶋のさ、俺、手料理って食った事ねえな」

「じゃあ、明日来る?」

「いいのか?」

「あっちこっちから、みんな来てるから、多分大丈夫」

「じゃあ、明日。あいつも来るのかな」

「誘ってないなぁ。呼ぼうか」

あいつというのは、もう一人の幼馴染の古市鼎(ふるいちかなめ)だ。

実はと言うと、古市はもう彼女がいる。

「ま、いっか」

古市は、どうやらスルーされる運命のようだ。


翌日の放課後、私は幼馴染の竹原一男(たけはらかずお)といっしょに、料理部の部室にいた。

「へえ、幼馴染かぁ」

井野嶽先輩が、私に話しかけてくれる。

「はい。そうなんです。幼稚園に入るよりも前から一緒なんですよ」

「そりゃすごい」

フライパンを軽快に返しながら、私に話しかける。

「幌ー、こっち、こんなもんでええんか?」

向こうで野菜ジュースをミキシングしている陽遇先輩が、井野嶽先輩に話しかける。

「先輩、こんな感じですか?」

同級生の沢入も、後ろでいろいろと作業をしている。

「ん、そんな感じで大丈夫」

すぐに二人共の分を見ると、またフライパンに目を戻す。


「いただきまーす」

陽遇先輩が、まっさきに食べ始める。

「お、うまいな」

私が作ったのを見ていた、竹原が私に言ってくれる。

「そりゃ、師匠がええからな」

「師匠って……」

話に割り込んでくるのは、陽遇先輩だ。

その横で、小さく井野嶽先輩がつぶやいたのを、私ははっきりと聞いた。

「こりゃ、また食べたいね」

「いつでも来ていいよ」

井野嶽先輩が、竹原に言う。

「ま、後輩の幼馴染だしね。ただ、部活はたまにやらない日があるから気を付けて」

「分かりました、では、たまにお邪魔しに来ます」

竹原が笑いながら井野嶽先輩に言った。


「いや、うまかったよ」

「お粗末さまでした」

私が竹原に言うと、耳打ちされる。

「こんな飯、ずっと食っていたいな」

食器洗いをしている手が、ピクリと止まる。

「…それって、告白?」

「そうだな、そうなんだと思う」

あやふやな答えだったが、それで十分だ。

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