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あの追跡劇の後に飲んだセパレートティーは、上にミルク、下に甘くしたアイスティーが見事に分裂して一つのグラスの中に入っていた。比重の違いでこんな風になるんだよ、と教えてくれるマスターの言葉は、右から左に突き抜けてしまった。
後日、あのグリーンマンの彼女のいるお手洗に入ろうとして、何気なく女性マークを見たら。赤いベビーカーの中に赤と緑の子供が一人ずつ入って、まるで以前から描かれていたような顔をしてそこにいた。
「…………」
何とも言えない気分になってベビーカーを前後に動かしてあやす様子を観察していたら、男性側のお手洗からLauneの常連客であるあの男性が出てきた。その人はそのまま近付いてきて、私の隣に立って女性マークを見て一言呟いた。
「あ、産まれたんだ。おめでとう」
その言葉を受けて、女性マークが軽く会釈する。
「え?」
隣の彼は、にやりと笑った。