サイドストーリー1 最終話
Music：Deathstars - Cyanide
（2045年6月1日、北極上空、ウェスカー所属スカイフォートレス、午前9時）
北極のオーロラはまだ完全には消えていなかった。淡い緑色の光の帯が金属質のスカイフォートレスに絡みついている。突然、虚空にさざ波が広がる――月の裏側から、全体が漆黒のステルス小型宇宙船がワープで現れ、ゆっくりと要塞のハッチにドッキングした。機械のロックが噛み合う「カチッ」という音が広々としたヘリポートに反響する。
次の瞬間、耳をつんざくようなメタル音楽《Deathstars - Cyanide》が突然炸裂し、宇宙船のハッチが上方に跳ね上がる。隙間から強い光が漏れている。最初に現れたのはドクター・イーブルの姿だった：オーダーメイドの銀灰色のスーツを着て、胸には全身真っ白なスフィンクスキャットを抱えており、猫の爪にはミニのダイヤモンドの首輪までついている。背後にはミニ・ミーが同じデザインの縮小版スーツを着て、胸には全く同じスフィンクスキャットを抱え、歩き方までドクター・イーブルと瓜二つだ。
「気迫を見せろ！誰が組織の老舗看板なのか、彼らに分からせてやる！」ドクター・イーブルは声を潜めて念を押し、歩き出そうとした瞬間、足元がハッチのレールに引っかかった。胸のスフィンクスキャットが「ニャー」と鳴き、飛び出しそうになる。
その後ろから続くスコット30号は白い目を向けた――彼は黒いテクニカルウェアのジャケットを着て、顔にはワイヤレスイヤホン、手にはゲームコントローラーを握りしめている。フラウ・ファルビッシナは全身黒いレザー、髪はきちんと梳かされ、前方の二人の「お騒がせ者」を見て口元をひきつらせ、彼らを直接飛び越えてヘリポートの外へ歩いていく。
ヘリポートの反対側、大型の日除け設備の下では、出迎えの隊伍が既に整列していた：スペンダーは電子タバコを咥え、煙が冷たい空気の中で白い霧に変わる。ファットマン（ザ・ファーストエルダー）はきちんとアイロンがかけられたスーツを着て、腹がシャツのボタンを押し広げている。教皇セオドア・クルックウェルは金色の教袍を羽織り、指で無意識に胸の宝石の十字架を撫で、眼差しには権力への渇望が隠されている。ウェスカーは手すりにもたれ、サングラスが眼底の感情を遮り、指先で銀色の拳銃を回している。ホワイトノイズはオーバーサイズの白いパーカーを着て、フードを頭にかぶり、一節の銀色のネックレスが見える。オキシゲンは黒いタイトな戦闘服、冷たい顔でホワイトノイズのそばに立ち、肘でこっそり相手の手を触れている。ドレイコフは濃色のトレンチコートを着て、視線は人群れを通り過ぎ、最後に宇宙船の方向に留まる。ディーカンはドレイコフの側に立ち、半血族の淡い紫色の血管が首元にかすかに見える。ビリー・ザ・キッドは黒いカウボーイハットをかぶり、レザージャケットの裾からホルスターが覗き、ブーツの底には泥と思われる痕がついている。ドレイコフの娘タスクマスターは全身を黒い装甲で包み、眼差しは虚ろで、腕は不自然な角度で垂れ下がり、魂のない操り人形のようだ。高川はディーカンの後ろに立ち、顔色は冷淡だ。ナンバー2はオーダーメイドのスーツを着て、手にはタブレット端末を握り、いかにもメディア大亨といった風貌だ。
「おお神様、この音楽はどうしたんだ？」ドクター・イーブルは突然足を止め、腰をかがめて宇宙船の音響設備をチェックする。ミニ・ミーも一緒にしゃがみ込み、二人は頭を寄せ合い、機械を研究するペンギンのようだ。メタル音楽はサビの部分で止まり、繰り返されるエレキギターのリフが頭皮を痺れさせる。
「いじるな、設備は壊れていない。お前が音量ボタンをループボタンに押し間違えたんだ」スコット30号はイヤホンを外し、口調には不耐が満ちている。直接フラウ・ファルビッシナを引っ張って出迎えの隊伍へ歩いていく。「皆さん、ご無沙汰しています」
フラウは皆に向かって軽く頷く。ドレイコフはすぐにナンバー2のそばに寄り、肘で彼を軽く突く：「我々の『旧友』を見ろ、相変わらず派手な演出が好きだな。ただ頭はついていっていないようだ」
ナンバー2は低声で笑い、タブレット端末の画面にはまだメディア投資報告書が表示されている：「正常な操作だ。彼は当年月面基地で、猫一匹のために世界破滅計画を延期したことがある」
ドクター・イーブルがようやく音響をいじり終え、ループした音楽を消し、スフィンクスキャットを抱えてやって来た時、出迎えの隊伍はもう話し終わっていた。彼は声を清め、ヘリポート中央の高台に歩み寄り、マイクを手に取る：「親愛なる組織のメンバーたちよ、私、ドクター・イーブルは、まる五年間（彼は年数を間違えている）の休眠を経て、ついに……」彼は一息つき、視線は台下を通り過ぎ、突然教皇セオドアを指さす。「おお！ジュリアン！お前まだ死んでいなかったのか？それにもっと華麗な教袍に替えたのか？ここ数年はうまくやっていたようだな！」
教皇セオドアの顔は瞬間的に曇った。スペンダーは急いで咳払いする：「ドクター・イーブル様、こちらは新教皇セオドア・クルックウェルでございます。ジュリアンは……既に逝去しております」
「おお？そうだったか？」ドクター・イーブルは意に介さず手を振り、傍らの給仕からブラックコーヒーを受け取り、一口含む。「重要ではない、どっちみち教皇だ。さあ、一人一人挨拶しよう――ファットマン、お前の腹はまた大きくなったな、私が当年基地に残したチーズケーキをこっそり食べたんじゃないか？」
ファットマンは気まずそうに腹を撫でる：「ドクター・イーブル様、あのケーキはとっくに期限切れです」
「ウェスカー、お前のサングラスは相変わらずセンスがないな、ダイヤのついたのに替えられないのか？」ドクター・イーブルはまたウェスカーを指さす。相手はただ眉を上げるだけで、言葉を返さない。続けて彼はホワイトノイズとオキシゲンを見つめる。「お前たち二人はそんなに近くに立って、何か秘密の計画をしているのか？」
ホワイトノイズが口を開こうとした瞬間、オキシゲンが先に彼の肩を抱き、口調は平淡だ：「私たちは今、カップルです、先生」
「おお！素晴らしい！」ドクター・イーブルは目を輝かせ、コーヒーカップを掲げる：「どうか早く小さな悪役を造れ！」この言葉にホワイトノイズの耳は瞬間的に赤くなり、オキシゲンは仕方なさそうにため息をついた。
ディーカンの番になると、若者は一歩前進し、軽くお辞儀をする：「ドクター・イーブル様、私はディーカンと申します。ドレイコフ閣下の養子であり、同時に初代ディーカンのクローン体です。こちらは高川、私の手下で、半血族です」
高川はドクター・イーブルに向かって頷く。ドクター・イーブルは彼の目を二秒間見つめる：「半血族？悪くない、純血の吸血鬼より従順だ」続けて彼はビリー・ザ・キッドに向き直る。「カウボーイ、お前のブーツの底の泥はどうした？金鉱を掘りに行ったのか？」
ビリーはカウボーイハットのつばを引っ張り、口調にはツッコミが混じる：「そんな良い話があるわけないだろ？ずっとブラックロックマウンテンで拉致した人間に採掘を監督していて、毎日鉱石と付き合っているんだ。靴がきれいなことなんて一度もない」
「よしよし、挨拶は終わりだ」ドクター・イーブルはコーヒーカップを置き、続けようとした瞬間、ナンバー2が突然タブレット端末を掲げる：「各位、まず一言挟ませてください――私は現在、全球の70%の主流メディア投資を掌握しています。ニュースサイトからソーシャルメディアプラットフォームまで、全て我々の人間がいます。これから子供たちが政治圏に渗透するにあたり、私はメディアを通じて彼らの道を舗装できます。例えば『天才少年』『公益の新星』といった人物像を作り出すことができます」
ドレイコフはすぐに言葉をつなぐ：「ちょうどいい、以前の組織人材計画は一時中止だ。今の重点は『渗透監視段階』で、各地に配置した子供たちにまず地盤を固めさせ、暴露させないようにする」彼はウェスカーとファットマンを見る。「この件については既に彼らと話し合い済みだ」
「渗透？監視？」ドクター・イーブルは眉をひそめ、ナンバー2のそばに歩み寄る。「私は大きな行動を起こすべきだと思う！例えば地球の半分を爆破して、人類に我々の実力を見せつけるんだ！」
「ドクター・イーブル様、今は大きな行動を起こす時ではありません」ナンバー2は眼鏡を押し上げる。「メディアがやっと生化危機の熱度を押さえつけたばかりです。また爆破をやれば、BSAAとGCROの連合討伐を招くだけです」
「討伐が何だ？月面基地の武器があるぞ！」
「あなたの武器は休眠中にネズミに三本の回路をかじられ、まだ修理が終わっていません」
「それならまだミニ・ミーがいる！」ドクター・イーブルは傍らのミニ・ミーを指さす。相手はすぐに胸を張り頭を上げるが、胸のスフィンクスキャットが飛び降り、慌てて捕まえに行く。
二人は言い争いを始め、武器の修理からチーズケーキのレシピへ、またメディア戦略からスフィンクスキャットの餌の時間へと話が飛ぶ。スコット30号は我慢できず、ゲームコントローラーを掴んで隣の休憩室へ歩いていく：「私は『バイオハザード：リメイク』をしに行く。話が終わったら呼んでくれ」
フラウ・ファルビッシナはドレイコフのそばに歩み寄り、彼の手にある猫じゃらしを見つめる――それはドクター・イーブルのスフィンクスキャット用に準備されたものだ。「ドレイコフ閣下、タスクマスターの状態はまだ改善していないのですか？」彼女は隅に立つタスクマスターを指さす。相手は機械的に手を上げ、下ろす動作を繰り返している。
ドレイコフはため息をつく：「チップはまだ調整中で、当面は基本的な行動しか保てない」彼は猫じゃらしを一本渡す。「猫の面倒を見ていてくれ、ソファを傷つけさせないように」
高台では、ドクター・イーブルがまだナンバー2と「地球爆破」と「渗透工作」のどちらが重要か議論している。台下では、ホワイトノイズとオキシゲンが夜何を食べるか小声で話し合っている。ビリーは手すりにもたれ、携帯電話の採掘進捗表に眉をひそめる。教皇セオドアはファットマンと囁き、より多くの教会の資金支援を争取しようとしている。
北極の陽光がゆっくりとスカイフォートレスの防紫外線窓を這い上がる。午前の時間はこの混乱で滑稽な「交替会議」の中でこっそりと過ぎ去っていく。誰も気づかない、休憩室でスコット30号のゲーム画面に、ちょうど「ゲームオーバー」の表示が現れたことを。
突然、ドクター・イーブルが猛然とナンバー2の腕を振り払い、胸のスフィンクスキャットをしっかり抱きしめ、まっすぐにカメラの方向に向き直る。銀灰色のスーツの襟元は曲がっているのにまだ気づかず：「オースティン！この伊達男め！カメラの後ろに隠れているからって俺に見つからないと思うな！」彼はわざと声を伸ばし、凄みの中に不真面目な滑稽さが透けて見える。「次期、我がドクター・イーブルの復讐計画が始動する――俺の物語は、まだ始まったばかりなのだ！」
