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第十二幕 暇ならトランプでもしよう

 泊まり二日目、今日は国語と社会を午前と午後に分けて勉強する。


 社会は覚える量は多いが、授業は楽しい。国語も数学と動揺、死ぬほど苦手_


 「おはよ〜」

 「おはよう御座います...」


 朝日がカーテンの隙間から入ってきている。眩しい、今起きたばかりで寝ぼけているからなのだろうか_


 「いきなり勉強やるのはキツいだろうから、10時くらいに国語やって、12時になったら休憩挟んで、13時から15時まで勉強して終了。これでどうかな?」

 「それでいきましょう!」

 「んじゃあ10時になるまでのんびりしてよっ!」

 

 ということで、僕達はスマホやテレビを駆使し暇をつぶす。どうやら椿先輩の両親は既に仕事に行っているようだ_だから今は、他の人の目を気にせずに愉悦に浸るという罪悪感たっぷりの行為ができる。というわけだ!


 「朝ごはんがまだだったね!お母さんが作ってくれた目玉焼きトーストがあるから、それを温めて食べよっ!」

 「わかりました〜」


 椿先輩の母親って、料理好きなんだなぁ_キッチンにおいてあるトーストを見て、僕はあの人の母性を感じた。


 「取り敢えず、一分ぐらい温めようっと」


 自分の中の体験では、レンジでトーストを温めたら硬くなった覚えがある_椿先輩はそのことを知らないのか、臆せずトーストをレンジに入れ、温め始めた_まぁ、諸々は椿先輩に任せよう。


(ピーピーピー)


 温め終わりを知らせる音が鳴る。


 「出来たみたいだね〜!」

 「ですね〜」


 _さぁ、どうなっている...?表面上だけじゃ硬さなんてわからない、食べてみなきゃわからない。でも、何かしら変化は起きている筈_謎の期待と不安を胸に、椿先輩が電子レンジの扉を開ける瞬間を見届ける_


 「オープン!」

 「見た目は変わりなし、黄身はちょっと固まってるけど_」

 「?」


 水滴が沢山付いたラップを剥がし、一口。


 「......」

 「「硬い_」」


 やっぱり、温めたせいで水分が抜け硬くなった_椿先輩も椿先輩の母親も憎む気持ちはない。悪いのは...”トースト”だ。


 「ごめんね〜...温めたら硬くなるなんて知らなくて_」

 「大丈夫ですっ!あむっ、」

 「ど、どう見ても大丈夫じゃなさそうな_無理しないでね!!」

 「はいっ!あむっ、」


 ”パン”_コホン、トーストを食べ終えたが、10時までまだ時間がある。


 _倉川に電流走る。この椿先輩の家(ホーム)の中には、トランプがあるはず_絶対に...!!


 「う〜む、10時までまだ2時間ぐらいある...(どうしよう_スマホとかテレビだけじゃ本当に楽しむという意味では的外れな気がする...ならば、秘伝の遊び(トランプ)をやろう!それなら、心置きなく楽しめる!!)倉川ちゃん!」

 「椿先輩!」

 「トランプやらない?」「トランプやりませんかっ!!」


 ハッ!?息を呑むほどの息ぴったり感_すんごい気持ちいいっていうか通じ合ってるっていうか嬉しいっていうか...!


 「考えることは同じだったみたいだねっ!」

 「息ぴったりで、通じ合ってるみたいでした_!」


 ということで、トランプをすることに。勿論ババ抜きで。


 準備を終え、順番を決める為のじゃんけんをする。何故か、冷や汗が_


 「「最初はグー!ジャンケンポン!!」」


 _最初はあいこ。まぁあるあるっちゃあるあるだけど...この流れ前も見たぞ?


 「「あいこでしょ!!」


 またあいこ_この流れ、前と一緒だ...椿先輩も勘付いたみたい。


 「「...あいこでしょっ!」」


 またまたあいこ_ここまで来ると最早安心までしてくる。


 「「あいこでしょっ!あいこでしょっ!!あいこでしょっ!!あいこでしょっ!!あいこでしょっ!!!あいこでしょっ!!!あいこでしょっ!!!」」


 いつ何方が負けるのかヒヤヒヤしながらも、僕は出し続けた。グーチョキパーを_死に物狂いで__


 「「あいこでしょっ!!!!あいこでしょっ!!!!あいこでしょっ!!!!!あいこでしょっ!!!!!」」


(After 2000 times_)


 「「はぁ、はぁ、はぁ_」」


 もう既に僕と椿先輩、両者は虫の息状態_満身創痍で三途の川が見えるくらいの状態だった。


 「この一撃で、決着を付けるよ_」

 「そう、ですね__」

 「最後に、言い残す言葉は...あるかい_?」

 「_楽し、かった。椿、先輩_は...?」

 「私、か_私は____楽し、かった_」


 一瞬椿先輩が間を開けたことは置いといて、さぁ...運命のときっ!!」


 「じゃん......けん.......ぽんっっ!!ぽんっっ!!ぽんっっ!!!!」


 脳内に「ぽんっっ」のエコーが響き渡る。薄れゆく意識の中、僕は勝敗の結果を見た_


 「椿、先輩_は...グー。僕は____パー。」


 薄れた意識が徐々に復活し、歓喜の嵐が大きくなっていく_


 「や、やっっっ......!!やったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」

 「負、け...た_」


 強敵を打ち倒した気分になった_脳内が湧き上がり永遠とわ興奮いただきを手に入れた_


 「よし、じゃあ最初は倉川ちゃんからだね!」

 「はい!」


 我に返り、茶番を終わらせて、新たな勝負に集中する_ただ、人数は二人。この流れで行ったら...


 「チラッ、ハッ!?(ジョーカーじゃぁ〜ん...)」

 「ホッ。(ジョーカーは回避できた_)」


 _手札を見ると、揃ったカードは6ペア。残る手札は14枚_それぐらいが妥当だよね。


 「揃ったカードがない_」


 _ふふっ、チャンスだっ!!僕のターン!


 「さッ」

 「......!!」


 颯爽と引いたカードは、手札のどれにも揃っていない_


 「_では、私のターン!!」


 どうやら椿先輩も同じのようだ。では、僕のターンッ!!」


 「う〜む、さッ」

 「......!!」


 少し考え、スッと引いたカードは…手札の一枚と数字が一緒_つまり揃っている!


これで僕の手札は14枚から12枚へと変わった。


「くっ、私のターン!!あっ!揃った〜!!」


これで椿先輩の手札は26枚から24枚に。ジョーカーがあるなら25枚になる。ジョーカーがそちら側にあるなら好都合_


「僕のターン!!さッ…揃った!」

「私のターン…!!んがぁぁ揃わない…!!」

「僕のターン!!さッ…揃った!!」

「私のターン……!!くぅっ…何故揃わないッ…」


 暫くして、残り少ない僕の手札と多少は減った椿先輩の手札の差が歴然になってきた。


 「や、やるねぇ_倉川ちゃん...」

 「運も実力のうちってやつですよ。」

 「なるほどねぇ、」


 椿先輩は負けを悟った表情をし、僕のターンに変わる。


 「スッ_そ、揃った。」

 「完敗だぁ〜...」


 一勝は僕が勝ち取った。次、二回目は_


 「(げっ、ジョーカーだ...)」


 二回目は少し手間はかかったものの、なんとか勝った。これで二勝_


 「つ、次は負けないよ!!」

 「望むところです!!」


 三勝、四勝、五勝六勝七勝と_勝ちを重ねていく。


 そして十回目_遊び(トランプ)開始から一時間。


 「か、勝った_ようやく...」

 「負けました_」


 椿先輩に負けた。が、それは展開的には当たり前のこと_


 そしてまた暫くして_


 「もうすぐ十時です!」

 「こ、これで二十敗目だぁ...」


(視点変更 椿)


 「おい、お前_こっちに来い。」

 「えっ?だ、誰_」


 聞き慣れた声が背後から聞こえた。何処となく聞き覚えがあるような、少し高めの男の声だ_


 「声を上げるな、これは彼奴を誘き出すための計画の一端に過ぎない。それが彼奴にバレたら狂気に蝕まれるだけだ。協力しろ_」


 姿が気になるのに中々姿を見せてくれない...しかもそんな状態で協力しろって?冗談じゃない_ってか彼奴ってだれ?もしかして、倉川ちゃん...?ますます理解できなくなり、次第に腹が立ってきた。


 「急にそんな事言われたって納得しないし、私の家にどうやって上がり込んだの?教えてみなさいよ。というか彼奴って誰!」

 「...面倒くさい女だな_こっちへ来い!説明してやる。」


 すると、私は黒を纏った狐の仮面を付けた人?の姿を目の当たりにした。


 「?椿先輩が居ない?トイレしに行ったのかな_」

 「よし、ここなら聞かれずに済む。」


 私が連れて行かれたのは見知らぬ研究室っぽいところ。どうやら私はさらわれてしまったらしい_


 「ふぅ、」

 「な、なんで君が_?」


 そう。あの天才頭の子に_

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