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宇宙探索者のゴミ漁り  作者: ランドリ
相棒はお高い装備の試供品
1/4

箱船は弱肉強食

色々なジャンルを書いてみたりしているランドリです。

なろうでは初投稿ですが、よろしくお願いします。

 すし詰め状態の宇宙船の中で縮こまっている男がいる。


 この船は宇宙探索者を探索すべき場所に送るための船なので、男もそのうちの一人なのだろう。男の恰好は鎧騎士のようにも見えるが、装甲の合間に施された配線がそういった存在では無い事を物語っていて、頭部には兜の代わりに鎧と一体になった大型のヘルメットが被られている。


 船内にアナウンスが鳴り響く。


『当機は予定通りにA-511漂流船にドッキングいたしました。これより一時間後に当機は離脱いたしますので、船内にお忘れ物の無いようにしてくださいね。帰りの便は六時間後になります。ご武運を』


 アナウンスと共に船内の片側にある出入り口が解放された。その先はこの船とは違った様子の通路に繋がっており探索予定の漂流船だ。


 目的の場所に到着したことを知らされた船内の者たちは、ぞろぞろと開かれた出口に向かい歩いて行く。


 周囲の人間が出口に向かったのを確認した男はヘルメットの上側を握りしめて、バイザーを下ろしロックした。そして他の人間と同じように出口へ歩いて行く。そんな男のバイザー内で合成音声の声が鳴り響いた。


 □お隣では戦闘が起きてるみたいね。気をつけなさいよアル□「了解だ」


 声に返答した男、アルが船に踏み込むと船内は先行した者達と長い首を持った鳥のような先住生物との戦闘となっており、人数差もあって現在はこちらが優勢だ。


「助けてくれ! 肩をやられちまった!」

 □ほっとけばいいのに□「クーリア……情けは人の為ならずだ」

 □いつもの出力1%ね□


 情けない事に出だしで負傷をした残念な奴がいるようなので冷酷な声、クーリアとは違い情けを知るアルは腰から棒状の物体を抜くと、背を向けて逃げる男に迫る先住生物のクチバシに向けて棒を振りぬいた。


 振りぬいた棒からは光がほとばしりクチバシを頭部ごと切り落とす!


 ぺこぺこと頭を下げる残念な奴へ手を上げる事で返事したアルは、そのままガントレットにあるボタンを押すと勢いよく展開した太い注射針で、殺した生物を突き刺した。


 男のバイザーに解析結果が流れていく。


 □この鳥の出身は割り出せたわね□「なるほど、あちらの星系か……」


 それによって得た情報と元々の知識によって目星をつけたアルはバイザー内でくぐもった声を漏らすと□この解析機はアルサント工業の提供でございます。明るい未来を解析するアルサント工業をよろしくお願いします□


 唐突に無感動な声で無関係なことを話し始めたクーリアに遮られる。


 □……□「クーリア、この時々流れるコマーシャルは何とかならないか?」

 □あたしって試供品だから。本製品を買えばなんとかなるんだけど□

「本製品を買いたいんだが、何処に売ってるんだ?」

 □百年ほど前に生産終了しているわね□


 アルとクーリアはバイザー内で時々クーリアが流してしまうCMについて毎度の決まり文句を言いあいながら、向かって来る首長鳥は光の剣で首を刎ねる事によってきちんと絞めつつ迷いなく戦闘中の中をすり抜けていく。


 狭い通路に侵入したアルを歓迎したのはカサカサと複数の足で天井含む廊下内を自由自在に駆け回る大き目のクモで、付近に大量の鳥の骨が転がっていることから肉食らしい。幸い一匹だけなので棒をクモに定めたアルが一気に踏みこむと、ほとばしる光によってクモは裁断された。


 アルはバイザーをトントンと叩きながら、迷う事も無く通路を進んでいく。


 その背に忍び寄る影がある。その影は発達した大あごでアルの事を狙い……!


 □動体センサーに反応アリ! 真後ろよ!□


 バイザー内に響くクーリアの叫び声によって振り返ったアルが見たのは、巨大な顎を持つクモが自分を噛みつこうとする姿。

 とっさに振りぬいた棒からほとばしる光で裁断された顎。その切断面からは大量の液体が流れだして床の白骨を溶かしており、その事にアルは冷や汗を流す。


 滅茶苦茶に暴れるクモに踏み込んだアルはクモにとどめを刺した。


 □この動体センサーはアルサント工業の提供でございます。明るい未来を解析するアルサント工業をよろしくお願いします□


 そんなアルにいつものCM を垂れ流すと少しの沈黙の後に元気な声を作ったクーリアが話し出す。


 □…………さあ! お宝はもうすぐそこよ!□

「まあ……行こうか!」


 大きなクモの屍を踏み越えたアルは、棒を振りぬいて扉を切り裂いた。


 その部屋はデータの集積室だったらしくたくさんのサーバーが忙しなく稼働中。これを傷つけないで見つける事が、漂流船を人間で探索する理由の一つである。


 長期漂流している船が自動で集めたデータこそ大きな価値があるお宝なのだ!


 このお宝でクーリアの事を何とか本購入したアルは、今度は周辺機器を手に入れる為に頑張る模様。

もし良ければブックマークや★でのご評価をよろしくお願いします。

このお話は後三話ほどありますので、順次投稿していきます。(ビビって全放出しない人)

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