第7話
エンジンの音は、いつもと同じような鼓動をしてくれている。
駆動系には支障がないようだ。
まずは一安心といったところだろうか。
アクセルを踏んで、ゆっくりとスピードを上げていくと駐車場からでていく。
かなり荒れていたものではあるが、駐車場を出てからの道中、しばらくは民家も商店もなにもないからか、その間は道路の汚れもほとんどなかった。
だが人家がくるあたりからは、だいたい壊され、荒らされていた。
最後の一暴れといわんばかりにぼこぼこにされている街並みを見ていると、一つのことに気づいた。
「……人がいなさすぎるな」
連れ去られたのは生きた人ならば、まだ価値があるだろう。
だが、血だまり一つ残さず、死体もそのすべてを片付けているとなれば、何か意味があるのかも知れない。
しばらく車を飛ばしていると、ようやく家にたどり着く。
「お、我が家も案の定だな」
家族はいない。
結婚はしていないし、両親は俺が就職したのを安心してか、あっさりと鬼籍入りした。
手野グループの企業となれば、両親でなくとも安心する。
それぐらいの大企業だ。
ただ、相続のおかげで残された一軒家は、見た目は廃屋と化していた。
それでも家の中のとある場所を探すため、俺は車を駐車場に止めて、家へと入った。