第6話
パソコンからログアウトはしておく。
もっとも、インターネットが生きているが、それに接続できる環境の人が、どれだけいることか。
現状のこの荒廃している映像の山を見る限り、そんな人がそこまでいるとは思えなかった。
そもそも、誰か生き残っているのかさえ疑問だ。
帰る時用に、ここにきた時に使っていた車を取りに行く。
ループするように今回は登山を計画していたからこそできる芸当だ。
普段なら行った先の電車なりバスなりに乗って帰るから、今回は幸運だったと言えるだろう。
「あー、やっぱりか」
だが、車を見るなり、ため息しか出てこなかった。
色とりどりの、それこそ原色のような派手な車から、真っ黒でおとなしい雰囲気をしている車まで。
駐車場には10台くらいの車が停められている。
そのほぼすべてが無残な姿になっている。
かなりの人数で襲わないとならないように、窓という窓は割られており、ついでと言わんばかりに者も盗まれているのが多いようだ。
「お、動くか」
俺は車のカギをポケットから取り出して、つくかどうかを確認する。
かなり丈夫な車だと聞いていて、それで買ったということもあるだろうが、手野自動車のドュルスだ。
5人乗りのバギー車で、窓ガラスも全部割られ、さらには助手席側のサイドミラー、後部座席においてあった帰り用の荷物の一部、さらには車止め用に積んでいた三角形の鉄塊も、それらすべてが盗まれていた。
それでもエンジンやバッテリーと言った足回りや駆動系は生きているようで、ちゃんと走ることはできるようだ。
「……よし、ともかく家に帰ろう。何かあるかもしれんな」
まずはそこに行くことが優先だろう。
この状況をみると、世紀末もびっくりな荒らされ方をされそうな気もするが、それも確かめてみる必要がある。
荷物は助手席に、シートベルトをつけて固定する。
俺自身も、運転席でシートベルトを付けるとエンジンを始動し、簡単な操作確認だけをすると、さっさと駐車場を後にした。