第22話
「では、これから人類はどうすればいいと考えますか」
「どうせ文明の跡形もなく破壊してくれていたら楽だったんだが、中途半端に残してくれた。なら、今からするべきことはただ一つ」
人差し指をスッと俺のほうに向けて、彼ははっきりと言いきってみせた。
「人類を復興させる」
必要なのはその強い意志だ、と言わんばかりに。私はそれを見て何も言えない状態に陥ってしまった。この状態で、どれだけの人がいなくなってしまったかすらわからない状態で、果たしてどこまで人類を復興させるという文字通りの国家事業ができるだろうか。
「やらんといかんのだよ。我々は。ただ我々2人だけだとしても、人間が人間タラ占めているのはその強い意志だよ。まあ二人だけだとしたら遠からず人類は消滅してしまうわけだが」
さすがに男二人だということには気づいていたらしい。だが、そうであれば、こちらだって動いていかないといけない。
「……わかりました、ありがとうございます」
これが正しいということをここで論じることはできない。なにせ情報が少なすぎる。ともかくこれだけの情報がもらえた、と思うようにするべきなのだろう。
「それで君は、これからどうするんだ」
言いたいこと、伝えたいことは終わったようだ。彼がこれからの話をし始めたということは、きっとそうなのだろう。
「行く当てはないです。ただ、人が集まりそうなところに向かってみようかな、と。手野武装警備や自衛隊、それにほかの役所のところを経由していけば、きっとあなた以外の誰かに出会うことがあるでしょう。まだ人類が絶滅していないぞ、ということを報せるための旅にでますよ」
「そうか、ならこっちはここで情報を集めておかないとな。また君が来たときに備えて、いろんな情報も集めることにしておこう」
言っていても限度はある。それは互いにわかっている。荷物はすぐに持っていけるようにひとまとめにしていたのが幸いしていた。車だって1階にはある。
「よろしくお願いします」
別れるとなれば言葉も少なめだ。階段をてくてくと降りていき、バリケードも何やら乗り越えていく。念のため、ということもあってこれらは壊さないでおくそうだ。
車のところまで来ると、荷物を後部座席に、それにここでいくらかもらった食料や水なんかも後ろへ積み込んでいく。どうせ1人しかいないからということで多めにもらえたのがうれしい。
「また、おいで」
「ええ、いずれまた」
誰もいない町、しかし人は必ずどこかにいる。宇宙人がさらっていったからといって人類が全員いなくなったわけではない。
俺は確信している。人間は強い。必ずや、元の暮らしまで戻し、必ずやさらに進んで文明を発展させることができることを。これからどうなるのかわからないくても、それだけははっきりと言えた。




