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第2話
まずは現状できることから始めることにした。
今は山から降りて、登山口にある警察詰所にいる。
荒らされた跡があちこちにあったから、確実に何かが起きたことだけは間違いがない。
本来であれば2名の警官が詰めており、何かしらの物事に対処するために常駐しているのだが、今はその2人の姿は、死体も含めてどこにもない。
最大の問題は、何が起きたのかの情報がほぼないということだ。
ゾンビにでも襲われたのであれば、ここの詰所ももっと血かなにかで汚れているだろうし、単純に何かの物資をあさったというよりかは、味方も相手もなくただただ暴れているだけという印象を受ける。
「……さて、これが最後の記録か」
誰もいなくなって、鍵もかかっていない部屋内をうろついていると、メモが残されているのに気付いた。
途中までは毎日数行程度の報告だったのが、最後の日、つまり俺が下山して警察詰所に来る3日ほど前の情報には何十行と書かれている。
それもその日の午後4時のものが最後で、以後は全て空白となっていた。