第18話
「……では金星は。金星は火星とは違っていまのところ大気はあるが」
俺は彼に尋ねる。
「よく言ってくれた」
まるで大学の教授のように言ってのけると、ホワイトボードの金星のところを、指でこんこんをたたいて示す。
「火星の次に来たのは金星だ。我々が金星と呼んでいるこの惑星は、今や硫酸の雨が降り、400度を超えるとてつもない大気となっている。ここにも昔は地球と同じような惑星が浮かんでいたはずだ。今は見る影もないがな」
「それも宇宙人の仕業、と」
「そういうことだ。火星で失敗した宇宙人らは、引き続き奴隷となる声明を探すために太陽系を探した。そして見つけたのは金星だった。金星には我々と同じように金星人がいて文化とまで呼べないようないまだ低レベルな生命がいた。彼らはDNAを弄り回し、金星人を文明を持つまでに進化させかつ宇宙人に絶対的な服従を誓うようにさせた。また火星での失敗をもとにして、資源を取るために必要な文明を与える一方、宇宙人らをあがめるように仕向けて、一切逆らわせないようにさせた。DNAレベルで、な」
「……しかしながら、失敗した。と」
再び俺が聞いたら、そうだ。とあっさり言い切った。
「金星人にはこちらでいうところの産業革命程度の、ばい煙まき散らし、公害広がりまくりといったとてつもない有毒な産業程度までしか与えず、それによって必要な資源を得ていた。それがたまりにたまり、金星は取り返しがつかない死の惑星となった。今や金星は見る影もない、そんな惑星になってしまったんだ」
「……そして最後に地球に目を付けた。と」
俺が三度尋ねると、彼はこれにも肯定してみせた。