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第12話
電源が生きているのが不思議なほど、庁舎は荒れていた。
バチッバチッと時折電気が着いたり消えたりする激しい音が聞こえるが、もう直されることはないだろう。
「……確かこっちの方に」
エレベーターはこの状態なら使わない方がいいだろう。
そう考えて非常口と書かれた看板の方向へと歩いていく。
そこにはすでに扉が壊されている非常階段がある。
覚えている通りでよかったと思いつつも、かといって階段の中を見てさらに不安が増していく。
こちらにはバリケードの類が一つもなかったのだ。
玄関にはたくさんあったかのように思ったが、ここで準備をする時間がなかったのかもしれない。
どこまで速攻で攻撃を受けたのか、考えたくはなかった。