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幸せについての答え

 あの日から10年。

 まあ、色々あった。

 王位を誰にというところから検討し、最終的に王家の血を継ぐことが判明したウィンディは今は女王陛下だ。

 新興貴族の支持を集め華麗に戴冠したが、その彼女が最初にしたのは議会の設立だった。今すぐではないが、王家は政治の世界から退き、国のことは国の民が決めるべきだと宣言した。

 今はそのための教育が国内で進められている。誰でも知識を得られる国にしたいのだとウィンディは言った。男女でも貧富でも分けられることなく望めば与えられる国に。

 それは学びたいと思っていた彼女らしくもあった。


 乙女ゲームには女王陛下のエンディングはなかった。

 ゲームより大成したなーと遠い目をしたくなる。なお、女大公も存在しなかった。


 わたくし、周囲からは鉄の女、女傑、金の信者などといわれております。


 なお、女王陛下は微笑みの女神と言われておりまして、温度差! と訴えているけど是正されそうにない。


 ウィンディとローを取り合った王女殿下は今は別の国に嫁いでいる。不満一杯の手紙が時々やってくるが、二枚目にうちの子がかわいい自慢ばかりなのでそれなりに幸せにやっているようだ。

 先代国王陛下も悠々自適の趣味ライフを送っていた。王子様たちも新たなる自分の人生を楽しんでいるようだ。


 王族の皆様については幽閉だの断頭台だの言われたが、前例を作るのはよくないと言い張ってこうなった。今はいいが、いつか、同じことが巡ってくるかもしれないのだから。


 ウィンディは私が一番貧乏くじと嘆きながらも夫であるローと仲良くやっている。

 元怨霊、今も怨霊というローとの間には子供はない。生きてないから。次代候補を養子として育てているが、どうなることやらやらといったところ。


 ヴィリジオ様と言えば、私の夫である。

 5年前にもう待てぬと押し倒した。図らずもできちゃった婚をしてしまい、周囲には怒られた。いや、だって、なんか、いつまでたってもなにもなくてですね……。

 そんな私も今は二児の母である。

 まだ人間じゃないふわふわ生物と怪獣やってる幼児の相手に奮闘している。

 ヴィリジオ様は研究所の所長へ推されていたが、断った。現場仕事がしたいと最高にわがままなことを言っている。ある程度したら上に上がって色々管理するのが大人ってもんですよ? と言ってはいるんだけど、まだしばらくは一般研究者をしていくつもりらしい。


 残念ながら実家は継ぐことはできなくなってしまい、他家から養子をもらいその子が継ぐことになっている。孫がと言っていたが、あと20年生きる自信があるのか? と聞けば、大人しく取り下げた。

 なんでも血縁があればよいというものでもない。

 血縁もない夫と仲良く暮らしていけるのだから、血縁のない姉弟でもきっと仲良くできるに違いない。


 ある晴れた昼下がり、私とヴィリジオ様はお茶を楽しんでいた。

 お互いに忙しい時期が被り、久しぶりにゆっくりできる時間が出来たのだ。


「ところで、記憶というのは魂にあるということみたいですよ」


「どうしてそうなった?」


「ロー閣下がそう言ってたから」


「……ふむ。では、君が死んだら、魂を保管しておこう」


「いやいや、普通に、死なせてください。そして、私より長生きするつもりですか」


「もちろん。君を残しては心配で死にきれない」


「地縛霊とかになりそうですね。

 幽霊でもいいから、側にいてください、ですか」


 そう言うとヴィリジオ様は驚いたように目を見開いて、顔が赤くなった。


「……そうだ。ずっと、いろ」


 今度は私が驚く番だった。愛情表現も苦手な彼にしては珍しく、とても直接的でわかりやすい。


「わかりました」


 色々予想外ではあったが、私の人生は続いていく。

 出来れば二人で愉快にやっていきたいものである。

いきなり最終回仕様ですみません。

こちらで完結となります。

読んでいただきありがとうございました。

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