表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

即興短編

サーファーの恋人

 車の中でただじっと海と空を眺めていた。


 彼はもう4時間戻って来ない。


 トイレのない砂浜の上で、彼を待ち続ける。




 彼のほんとうの恋人は私ではない。


 波が彼の恋人。


 調子よく波に乗れた後には、いつもの1000倍は優しくなる。


 だからいつも許してしまう。




 私は海が嫌いになった。


 でも彼の前では『好きだ』と言って微笑む。


 彼のせいで海が嫌いになってしまった。


 嫉妬したところで勝ち目のない雄大さを眺めながら、缶コーヒーを飲む。




 今日は一緒に服を買いに行ってくれる約束だった。


 そういう時に限って彼女はやって来る。


「明日にしない? いい波が来るんだ」と言って、彼は彼女に会いに行った。


 彼を奪われた私は車の中で1人待ち続けている。




 これを『無駄な時間』だとは思わない。


 だから無駄な時間を利用して何か有意義なことをしようなどとは思わない。


 これは彼を待つための時間なのだ。


 彼が波を待つように、私はじっと意識を集中して、彼を待ち続ける。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] まさに波が恋人なんですね。 彼女が彼に愛想を尽かしたら、きっとこの関係は終わってしまうんだろうな、という刹那的な、ぎりぎりの細い糸で繋がっているような、危うい均衡を感じました。 彼女が去…
[一言] 切ないなあ キュンとしちゃいます(#^.^#)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ