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~中3のバカ達の話~③


『その後のことをざっと説明すると、風呂入って消灯だったよ! どうしてもリアタイでアニメが見たい詩乃ちゃんはちょっと暴走したけど蜜ちゃんの技でコテンと寝たよ! ちなみに方法は(禁則事項です)。そして、2日目☆』


「いやー、あっという間に2日目ですね、目の調子はどうですか海翔さん?」

「なぁ、これ、何パン?」

「バターロールだよー」

 全然見えてない、と。ちなみにこれはクロワッサンだ。手触りで分からないのだろうか。

 っていうか、さっきからさ。

「田中君? 何でそんな熱烈に海翔を見つめてるの?」

「!?」

 な、何故ばれたんだ!? みたいな視線を向けてくる。あからさまにガン見してたくせに。

「いや、僕なりに本当に責任を感じているんだ。その、よかったら君の手となり足となって――」

「大丈夫だから、安心してくれ(詩乃、フォロー頼む)」

「(漫画何冊?)」

「(2冊)」


『O☆SA☆NA☆NA☆ZI☆MIアイコンタクト!』


「乗った! 安心して田中君! 海翔は俺が守る!」

「そ、そっか、それはよかった」

 こうして、(海翔にとって)波瀾万丈の修学旅行2日目が幕を開けたのだった。

「はーい、今日は1日ユニバーサルスタジオジャパンで遊びまーす。先生たちも遊びたいので問題行動とか起こさないでねー。解散!」

 なんか自由やな。

 と、いうことで。インザユーエスジェー!

「ひゃっふーきたぜご近所にある夢の国じゃない方の日本を代表する大型テーマパーク!」

「し、詩乃、まさか山崎君と遊園地に来れるなんて、まるで夢のようだよっああっ」

 うん、恋する乙女は無敵哉。

「まあ、今日は並んで乗っての班行動だから、大丈夫だよな」

「うん、だいじょーぶ!」

 ちなみに今のは小毬ちゃん風。

「俺は美魚派だ」

「まさか、また例の銀魂を貸してくれた少年に……!?」

「ゲーム押し付けられて」

 おお、ついにリトバスまで!

「さて、まずはスパイダーマンへダッシュだ! ラッキーなことに今日は混雑がましなようだからすぐに乗れるはずだ! 普段ならもう何十分待ちだが――」

「え、田中君?」

 七瀬ちゃんが不安そうに見つめる。

 いやちょ、こいつガチじゃねえか。

「いや、ははは、実はこういうの好きなんだ」

「そうなんだー」

「さて、行こうか」

 どこか、田中君が不敵な笑みを浮かべたような気がした。


          ○-○


「ふう、噂通り素晴らしかったよー」

「メガネないせいで何も見えなかったし、やたらうるさかったし、途中で頭に何かぶつかってきやがったし……」

「それうちの肘かも。なんかにあたった気がする」

「ぼけ」

 そう言って殴られたのは田中君だった。まじで見えてないんだな……。

「いいんだいいんだ中原さん。さて次は、バックトゥー・ザ・フューチャーだよ!」

 しかし田中君は張り切るなあ。

「あっちの大きい建物ね! 先に並んでて、僕はみんなの分のジュースを買ってくるから!」

「オーケー」

「田中君の張り切りが怖いよう」

「蜜も思う?」

 七瀬ちゃんと木野栗は二人の世界だけど、常人の蜜にとってもやっぱり……。

「お待たせ、はいこれ」

 みんなでジュースを飲みながら待つ。これ限定のなんとかなんとかジュースじゃん! ナイス田中。

「ひゃっほー順番やっときたぜー!」

「なんか、すっげー眠いんだけど……」

「え、海、翔!?」

「お客様?!」

 海翔が死んだ。


          ○-○


「いい加減おかしいことに気付き始めたんだ、ウチも」

「あぁ、付き添わせちゃってすまん」

「素直に謝られると心が痛いっ!」


『急にぶっ倒れた海翔君を連れて、詩乃ちゃんは休憩室で目を覚ますのを待ってたんだ☆立場逆転だね☆』


「さっきから俺が危険にさらされている気がする……」

「気のせいじゃない?」

「いや、それがいつも横には田中君がいて――」

「「あ」」

 全てが繋がった気がする。眼鏡が踏まれたり、頭に何かぶつかったり、眠たくなったり。

 気付いた時には駆け出していた。

 まるで少女漫画だね!

「あれ、詩乃ちゃん誰かお探し?」

「美羽ちゃん、田中君見なかった?」

「ああ、田中ならあっちに行ったっすよ?」

 宮脇君にさされたのはジョーズ。定番中の定番の乗り物だった。

「あ、田中君!」

「ちっ。見つかっちまったか……」

 シリアスな空気が流れる。

「警戒しないように、下から下からと一生懸命演技をしていたのに」

「むしろそれで警戒したわ」

「とりあえず、乗ろう? これ僕が一番楽しみにしてたんだ……」

 名探偵海翔、ついに犯人を追いつめました!

「いろいろと不自然だったんだよ。お前ってそんな下からへこへこ行くタイプじゃなかっただろ?」

「うん、そうなんだけど、山崎っていつも人のこと興味なさそうにしてるから気付かないかもって思って」


『実はさっき、浩二君との会話の中で変だなって言われてたのは内緒☆』


「さっき乗ったアトラクションで暗闇で頭を殴れたのも隣の席の詩乃じゃなくて後ろの席の田中君、それにジュースに事前に触れているのは田中君一人……つまりお前が犯人だ!」

 そのとき、ジョーズの爆発が起こった。

 わー、劇場版のコナンみたい。舞台的に服部と和葉ちゃん一緒だわ。

「どうしてこんなことをしたんだ?」

「ちっ……。だって、メガネイケメンの座は俺のモノなのに……お前が、お前のせいで、俺の恵子は……!」

 メガネ……イケメン? まぁ、そんな疑問点はおいといて。

「あー、A組の美濃さん……海翔に去年バレンタイン渡してたねー」

「あー……ポニーテールの?」

「それは横田さん! ツインテールの……」

「あ、ヤンデレの……」

「いやだからそれは横田妹! 同じクラスでしょうが。ツンデレの方だってばー」

「ああ、あの美人の」

「殺す」

 なんだか怒らせてしまったようだ。

 要するに嫉妬ってことか。モテる男は大変だねー。

「知らんわ」

 それな。

「あれ、田中君?」

「横田さん!」

「あのさ、今晩、話があるんだけど……いいかな?」

「は、はいっ」

 こうして、事件(?)はリア充解決したのであった。

「くっそー、うちの修学旅行返せー!」

「すまん」

「え、あ、また素直に謝っちゃう?」

 再び結構戸惑う。やないかーい。

「じゃ、取り返しに行くか!」

「乗りまくるぞー、おー!」

「早速そこから行こう」

「え、木野栗とか探さないの?」

「あー、ま、お前と2人の方が気軽だし」

 メガネのフレームをくいっと上げながら言う。こいつの照れた時の癖とかそういうわけではないのが残念だ。

「…………」

 まあなんだかんだ、結局うちは大好きなのだ。

「せやろー! ほな、いこか!」

 この、馬鹿な幼馴染の

 メガネが。

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