幼馴染/妹
「そうだったんだ……(一緒にお風呂とか聞こえたけど気のせいにしよう)」
水萌が納得したという風に首を振る。
「そうなんだよ……」
「ふぅん、でも初火ちゃんがねぇ」
「反抗期かな?」
「どうだろうねぇ……」
こればっかりは仕方ないんじゃないかな、と水萌。
「仕方ないのか……」
なんかテンションが下がってしまった。ナーバスなう。
名状しがたいやるせなさに打ちひしがれていると見かねた水萌が提案してきた。
「……じゃあ、今日だけ私が妹になってあげようか?」
つまり、どうゆうことだ?
「おにーちゃん」
クリーンヒット。大ダメージである。
「っっつ!」
息が詰まるほどの破壊力。
「どうかな? おにーちゃん」
上目遣いの水萌が迫ってくる。
「えっと、その、あの」
これはどうすればいいのだろう。最高の気分です、と答えればよいのだろうか。
水萌が恥ずかしげに微笑む。
そうか、これが……この目の前にあるものが……『妹』か。
どうしよう、もうこの子を家に持って帰って妹としてかなり可愛がりたい。抱き枕代わりにしたい。
しかし、幸せな時間は長く続かない。
勢いよく開かれた扉が現実に叩き落とす。