ふれあい
「お兄ちゃん、朝だよ? おきて?」
耳元から可愛らしい声が聞こえると思ったら妹だった。
「ん。おはよ、初火」
挨拶をする。昨晩は何かしら懐かしい夢を見た気がする。……何だったっけな?
「おはよ。お兄ちゃん、早く朝ごはん食べに行こ!」
「あぁ、行こうか」
初火の後ろに付いて洗面所へ行き、顔を洗い歯を磨き、リビングへ。
「おはようございます。陽火さま、初火さま」
「おはようございます、かなみさん」
「おはよーございます、かなみさん」
イスに座り、かなみさんが作ってくれた朝ごはんを食べる。
いつも通り、何も変わらない一日の始まり。今日から、また頑張ろうと思った。
「ぼく、日直だから先に出るね」
制服に着替え、部屋の初火に声をかける。
「ちょっと待って! もう出られるから、一緒に行く!」
あれ? ちょっと前に一緒に登校するの嫌って言ってなかったっけ?
まぁ、いいや。心境の変化ってことで。
玄関でゆっくりとスニーカーを履きながら待っていると、初火がトテテとやって来た。
「お待たせー。じゃあ行こっか」
ローファーを素早く履いた初火が笑顔で振り返った。
「うん。じゃあ行ってきます、かなみさん」
ぼくが言うと、
「行ってきまーす 」
と、初火も。
「行ってらっしゃいませ。二人ともお気をつけて」
玄関を出て、初火と二人で門をくぐる。触れ合った手をぼくらはどちらともなく絡め、握る。
空は雲ひとつなく、ただただ青く澄んでいた。
次話のエピローグを以て「ふれあい」は終わりとなります。
どうぞ、最後までお付き合いください。




