奉仕
「到着です。御食事は何いたしますか?」
初火をベッドに座らせてから問う。
「んー、ももとかゼリーとか」
「分かった。取ってくる」
踵を返せない。既に左足が初火の全身にロックされていた。
「……もしもし、かなみさん?」
「はい、お持ちしました」
内線で用件を報せるとすぐにかなみさんはやってきた。
「ありがとうございます」
「いえ、では御ゆっくり」
お盆を手渡すとかなみさんはまた家事へと戻った。
「ほい、食べられる?」
座って待っているのが辛かったのか、初火はもう横になっている。
「んー、おにぃちゃんが食べさせてくれるなら食べられるー」
「はいはい」
こんな風に甘えきってくれるのは、ぼくとしてはかなり幸せだ。
「どっち先に食べる?」
「ゼリー」
「じゃ、口開けて」
「あーん」
スプーンで掬って、初火の小さな口へと運ぶ。
「ん、ん、んくっ。あーん」
「ほい」
もう一度。
結構早いペースで食べ進めて桃も食べきった。まぁ、大した量ではなかったが。
「食欲戻ってよかったよ。昼もちゃんと寝てるんだよ」
「うん」
と、素直に返事をしながら初火はそっとベッドの脇に寄りスペースをあけた。
「ん」
ポンポンと空いたスペースを勧めるように叩く。
「ちょっとだけでいいから、一時間でいいから」
そう言ってきた。
「まぁ、昼寝したいし。初火がそう言うなら」
そっと、初火の隣で横になる。すると初火がやっぱり抱き着いてきた。
「おやすみぃー」
ぐりぐりとぼくの胸元に頭を擦り付ける。
「ちゃんと大人しく寝てなよ。おやすみ」
眠いし、外気が若干肌寒いから布団の中が丁度よく暖かい。初火を眺めながら睡魔に犯されるのをまつ。




