自宅が一番
買い物を終えて、自宅に着くと1日外泊しただけなのに懐かしい感じがした。
「ただいまー」
と、誰もいない家に向かって呟く。すると隣でかなみさんが、
「お帰りなさい」
と言った。かなみさんも今帰ったんですけどね。
「すぐにお昼の用意しますね」
かなみさんは、そう告げて台所へと消えていった。ぼくは自室にカバンを置いてすぐにリビングへと戻った。
かなみさんが昼食の用意をしている間、テレビを見て時間を潰す。手伝おうにも邪魔になるだけだし。
「陽火さま、お昼の御用意ができましたよ」
テレビを見ているうちに、うとうとしてしまっていたらしい。
「ふゎぁい」
あくび混じりの間抜けな返事になってしまった。するといつの間にかメイド服に戻っていたかなみさんは優しく微笑んだ。
「おねむですか? 陽火さま」
「子供じゃ無いんですから。ボーッとしてただけですよ」
よく寝たつもりだったのだけれど、布団が変わると案外リラックスできないのだな。
テーブルにはカルボナーラが置かれていた。
「いただきます」
手を合わせてからフォークを手に取る。パスタを巻いて一口。濃厚な卵の香りが広がる。
「いかがでしょうか?」
かなみさんがいつもの様に尋ねる。
「おいしいですよ。チーズはいつものと別のを?」
「よかったです。ええ、少し香りが優しいものを選びました」
「こっちの方がしつこくなくていいですね」
まぁ、いつものでも問題無いけれど。
「満足していただけたなら嬉しいです。では、わたくしもいただきます」
そう言ってかなみさんもフォークを手に取った。
かなみさんは基本ぼくと初火が食事に手をつけるまで絶対に自分も手をつけない。 ぼくらが一口食べて感想を聞いてから食べ始める。
ぼくも初火も大抵おいしいと言うけれど、一度ぼくの機嫌が悪かったとき「まずい」と感想を言ったら「すぐに作り直します」と言われて驚いた。
下げられる前に機嫌が悪くて意地悪しただけだと謝ったら、涙ぐみながらホッとされて死ぬほど申し訳なくなった。 もうあんなことは絶対しない。
「ごちそうさま。美味しかったです」
「お粗末様です」
「少し部屋で休憩してますね」
「かしこまりました」
食事を終えて二階に上がり自室へ入る。 少し眠ろうかと考えたがさっきうとうとしたせいか、眠くならない。
そこでふと、臨視に借りた小説の存在を思い出した。
「メイドさんのヤツ先に読んじゃおう」
妹もののがまだ残っているが、昨日の事もあって気になるし。
読み進めるとなんというか昨日の状況と酷似していて、いたたまれなくなった。 残り一章のところで、臨視から感想を求めるメールが来た。
『小説どうだった? 楽しんで貰えたかな?? 感想訊かせてね~』
とのことだ。
『なんか腹立った。 内容事態は面白かった。』
送信。一分と待たずに返信が来る。
『なんでっ!? まぁ面白かったならいいや。ところで他に貸して欲しいジャンルはあるかい?? なんでも貸しちゃうぜ~』
他のジャンルか……
『そうだな、ロリものってある?』
送信。今度は返信が来るまでに少し間があった。
『……ごめん、ちょっと買ってくるわ』
……なんかヤバいものに手を出してしまった気がした。なんでもって言ったから安心したのに! ケータイを置いて小説の続きを読む。
内容としては保健室のよりドラマチックなものだった。まぁ、卑猥だったけど。読み終えると達成感からか眠気が再来してきた。
「…………」
あー、寝るわ。多分三分以内に寝る……。




