終 [5/5]
「そのことですか……」
ソラは神妙にうなずいたが、次の瞬間、何を思ったのか口元に笑みを浮かべた。
「そうですね。あなたに噛まれた手がまだ痛みますよ。あれがなければ無傷だったんですけどねぇ……」
「はぁ?」
与羽が尖った声を出す。
「無傷とか、俺強いぜアピール?」
「『夢見最強』ですから」
ソラは照れることなく自分の二つ名を口にした。
「自分で言うなって」
与羽のツッコミにも無関心だ。
「……まぁ、ええわ。ありがとな、ソラ。白銀も。あと、ごめんな」
「いえ、また何かあったらよろしくお願いいたします」
口調を落ち着いたものに戻した与羽に、ソラも丁寧に頭を下げた。
「それでは、お元気で」
「うん。また来るわ」
「ええ、お待ちしています」
うなずくソラと白銀に手を振り、雷乱の背に乗った与羽は舞い上がった。雷乱の翼は速く、あっという間にその姿は小さくなる。
ソラは無言で白みはじめた闇に、雷乱の黄色い尾羽が星のように小さくなるのを見送った。
「行ってしもうたな」
そんなソラの腕に白銀がしがみつく。
「ふざけないでください」
ソラは与羽の姿になっている白銀に言った。
「ちょっと元気付けてやろうと思うたのに……」
白銀は与羽の口調を真似て、ほほを膨らませた。ソラがくすりと笑う。
「与羽がそんなかわいい顔をするわけないでしょう。さぁ、今日から外守の仕事に戻りますよ」
ソラはそういうと、万年の夢を取り囲む森――烏羽玉の方向へと歩きはじめた。
「かわいくねぇ奴」
白銀はソラの首に守護の神のお守りと一緒にかけられた小袋を見て呟き、後を追う。そこには、与羽からもらった髪が入れられているはずだ。
二人の後ろでは低い空に与羽が龍使い座と呼ぶ星々が輝いていた。
Twitterで、「『羽音 -ハネ- 夢見編』は今月で完成させる予定です。」と言い続けて、はや三ヶ月。
六月、七月、八月まで、「完成させるさせる詐欺」をはたらいてしまいました。もはや、私の「完成させる」は完成しないフラグでしかありませんねw
いや、本当に申し訳ありませんでした。
「羽音 -ハネ-」自体は、「天力」と呼ばれる不思議な力を持つ人々があれこれやるアクション多めの異能ファンタジー作品です。
その中でも、「夢見編」は「夢見」と呼ばれる占いを生業とする集団(夢見族という表現をすることもあるが、血縁集団ではない)が中心となる物語でした。
本家、「白月の破片( http://id35.fm-p.jp/97/lunablanca/ )」でひそかに連載中の小説「龍神の詩」にも出てくる、与羽や雷乱、ソラ(「龍神の詩」では漢字表記で「空」)など見たことあるキャラクターもいるはずです。
「羽音」と「龍神の詩」は姉妹作で、「羽音」の方がお姉さんです。
「羽音」の世界観が複雑なので、異能要素を抜くなど、簡単にして、舞台も変更したものが「龍神の詩」。
なぜそんなまどろっこしいことをしたかというのは、話すと長くなるので、今回は割愛します。
まぁ、よろしければ、本家にも遊びに来て龍神の詩を読んでいってくださいという宣伝でした。
当面、「羽音」を載せる予定はありませんしね……。
「龍神の詩」をがんばって完成させたいので。こっちはあと外伝込みで8作分くらいではないでしょか……。まだ長い。
まぁ、できるだけ更新するする詐欺はしないように努力しますので、これからもお付き合いいただければ幸いです。
2013/9/1




