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終 [2/5]

「それで? あんたは何で操られた振りをしとったんな?」


 そして、厳しい口調になって尋ねる。


「術者が一人ではありませんでしたから。しかも、わたしは運悪く暗鬼(あんき)にたどり着く前にこっちの彼に見つかりましてね。彼を倒してしまうと暗鬼は捕まらないと思い、操られたフリをしたのです。まぁ、結局暗鬼は逃がしてしまいましたけどね」


 ソラは先ほどまでと調子を変えずに答えた。


「あんたのせいで私がどんだけ命の危機にさらされたと思う?」


「敵をだますにはまず味方からですよ。あまり手加減しては操られていないのがばれてしまいますから、いくらか強く攻撃しましたが、全部急所は外したでしょう? あなたを暗鬼の所に誘導したのもわたしなんですよ。でないと、わたしが暗鬼にたどり着けませんからね」


「じゃぁ、暗鬼を見つけたらすぐに攻撃すりゃあよかったじゃん」


 与羽(よう)はソラをにらんだ。


「悪役になるのが思ったより楽しくてですね。それに、先日の熱湯の恨みがまだ残っていましたから」


 風呂の湯を熱くしていたあれか。


「まだ根にもっとったん? あれくらわんかったんじゃろ。それなら別に仕返しする必要なぁじゃん。ってか、こんな時にそういう私情を挟むなよ」


「やられたらやり返すのが、わたしの主義です」


「…………。一発殴っていい?」


 与羽は冗談ではなくこぶしを握りこみながら、尋ねた。先ほどよりも体が楽に動く。


「いいですけど、殴り返しますよ?」


「おとなげないな。絶対私の方が被害受けたし」


「まあまあ」


 ソラがなだめる。


「ゼリービーンズ百年分と緑茶百年分を追加しますから」


「……私、そんなに物で釣れそうに見える?」


「その代わり、あなたの髪の毛をください。戦闘中に拾っていたでしょう?」

 よく見ている。水球でやられたときか。


「何でまた――?」


 与羽は懐に収めた小袋から自分の髪を出し、束ねながら尋ねた。


「綺麗だからです。龍神のお守りにもなりますし」


 ソラは口元に笑みを浮かべて言った。

 与羽は少し手の中にある髪の束を見つめて考えたが、結局は枕元に置いてあった守護の神のお守りといっしょにソラに差し出した。


「エロいことに使うなよ?」


 いたずらっぽく笑んで言う。


「そんなことしませんよ」


 ソラも面白そうに笑う。


「大事にしますね」


「ああそうしろ。この髪をもつんは世界で私一人じゃけぇな」


「大事にします」


 ソラはもう一度噛みしめるように言った。

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