表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
39/43

終 [1/5]

「あんたの嫌な予感は終わったか……?」


 目覚めた与羽(よう)が最初につぶやいたのはそんな言葉だった。目を開いた瞬間、陽光に染まったソラの銀髪が見えたせいかもしれない。


「はい。あなたは大丈夫ですか?」


「大丈夫なわけあるか」


 ソラに流し込まれた天力のせいで、まだ自身の天力の流れが安定していない。

 天力の質は人によって異なり、違う人の天力を大量に受け入れると、自身の天力の質や量、流れ方が変わってしまう。


 与羽はわずかにしびれを感じる手をゆっくり目の前まで上げて、そこに凝縮した天力で水を生み出そうとした。

 しかし、指先が少し湿り気を帯びるだけ。小さなしずくさえ作り出せなかった。いつもなら造作もなくできる天力操作がうまくできない。


「……重症じゃな」


 そうつぶやく与羽は呂律も曖昧だ。


「申し訳ありません。想像以上にわたしとあなたの天力相性が悪かったようです。応急処置はしたのですが……」


「ん~、それは分かる。天力はめちゃくちゃじゃけど、体は結構動きそうじゃし。気分もそこまで悪くない」


 与羽はそう言って辺りをゆっくり見回した。

 淡い色の木の壁と天井。窓のカーテンは開けられ、陽光が差し込んでいる。壁際におかれた本棚には、およそ就寝前の読書には向かなさそうな難しげなタイトルの分厚い本が並び、隅に置かれた机には多様な占い道具と一緒に戦闘時に奪われた流王が丁寧に置いてあった。


「……結構寝とったみたいじゃな」


 ここは万年の夢。ソラ宅の客間だ。

 暗鬼と戦った風の御神木から万年の夢までは、雷乱の翼でも半日はかかる。暗鬼と戦ったのは夜だったが、太陽の差し込む方向から考えて、今は昼過ぎ――、夕方に近い。


「ちなみに、丸一日と半日ですから」


「うわ……」


 ソラの言葉に与羽は苦い顔をした。予想以上に長い間意識がなかった。


「暗鬼には逃げられましたが、それ以外のほとんどは捕まえられましたし、様々な後処理も青麗(せいれい)様と輝希(キキ)師、あとわたしでやっておきましたから、ご安心ください。望まれるのならば、敵兵と会うこともできます」


「いや、それはええわ。あんたらに任せる」


 与羽は小さく息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ