三 [3/11]
相手は与羽を迎えうつために短剣を抜いた。前言撤回、武器を持たせた相手でも操れるらしい。さきほどのは与羽を油断させるためだったのか。
与羽の動きまで捕捉して操っているとしたら、術者は相当の使い手だ。
流王と短剣がかち合う。
後ろに現れた気配に与羽は蹴りを繰り出して、短剣の相手は澪で弾く。
そして振り返り、後ろにいた気配に札を貼った。夢見の女だった。たしか、彩色。
与羽はすばやく彼女の腕をひねり上げ、他の敵が迫ってきたので仕方なく結界を張った。
完全に術で縛った後、他の敵が助けに来ないように、動きを封じられた人が集められている青麗のそばに放り投げた。
青麗はこれ以上怪我をさせないように、風で包んでそれを受け取る。輝希と白銀がそうとうな働きをしているらしく、結構な数の人が集められていた。
いつの間にか与羽は戦いの中心から外れていたらしい。敵はほとんど輝希と白銀が相手し、与羽のまわりにはもういない。
雷乱も与羽に襲いかかろうとしていた敵を一手に引き受け、輝希たちのそばに誘導し戦っていた。
与羽は一息ついた。何とか収拾がつきそうだ。
運がよかったのか、守護の神のお守りのおかげか、あまり巻き込まれずにすんだ。
そう安心した瞬間、背後に鋭い殺気を感じた。ここに来て感じたどの殺気よりも、強く恐ろしい殺気。
与羽は身をすくめそうになったが、生存本能が働いて振り下ろされたナイフを流王で受け止めていた。
「……ソラっ!」
与羽は彼の名を叫んだ。
その声は雷乱達にも聞こえたらしい。与羽の方を見て、目を見開く。
与羽は左手で鎖を弾きあげ、ソラを弾こうとした。
しかし、ソラは他の敵とは違い、天力と足とでその攻撃を受け止めた。少しはひるんだものの、すぐにソラのナイフが重くのしかかる。
ギッ……、と硬いもの同士がふれあう不快な音が続く。
「……っ」
ソラの攻撃は重い。男女の筋力差はどうしてもあるが、今まで与羽は天力で補助してそれと同程度、いや、それ以上の強さを発揮してきた。
しかし、今は完全に全ての力においてソラに圧倒されている。ソラは片手でナイフを持ち、涼しい顔をしているにもかかわらず、与羽は両手と天力を総動員してやっとそれと釣り合う程度だ。
その時、与羽のわき腹に激痛がはしった。一瞬ひるみ、ナイフが左腕を大きく切り裂く。
与羽は痛みに歯を食いしばって耐えながら、流王を握りこんだ右手で手刀を打とうとするが、ボウガンを持つ左手に止められてしまった。ソラの腕はびくともしない。
与羽はためらわずに距離をとった。
そこに雷乱が割って入り、与羽をかばう。




