二 [9/10]
「あんたは大丈夫なんか?」
「大丈夫です。夢見最強を甘く見ないでください」
「じゃあ神に誓え」
与羽は厳しい口調で言った。
「いいでしょう」
そう言い、ソラは与羽の額に指を当てた。
「守護の神、時の女神、運命の神、八百万の神、そして最高神羽音姫に、絶対に死なないと誓いましょう」
「それでええ。けど何で羽音姫限定? 羽音翼は?」
羽音神は最高神フリティラリアの愛称。その中でも、羽音姫と言えば少女陽、羽音翼と言えば精霊藍の愛称となる。
「あなたのヨウと言う名前にげんをかついだのですよ。羽音姫からいただいた名前でしょう?」
「多分な」
与羽はまだ額に触れているソラの手を払い除けながら言った。
「あなたも誓ってくれますか?」
「何を?」
「絶対に死なないと」
「……まぁ、ええじゃろう」
与羽も彼女のために身をかがめたソラの額に指を触れた。
「守護の神、水の女神、風の女神、極西龍神、八百万の神、羽音神に誓うわ。絶対に生き残る。――これでええか?」
「ええ、結構です。ありがとうございました」
ソラはかすかに笑んで言った。
「それで、あんたの嫌な予感って?」
「まだ分かりませんが、あまり好ましい感じはしませんね」
「当たり前じゃろう。好ましい嫌な予感ってどんなん?」
与羽は気合を入れなおすために、帯をくくり直しながら言った。
「輝希師に尋ねてください」
「人に押し付けるなって。――輝希師!」
「本当に尋ねるつもりですか?」
わずかにひるんだように問うソラに返事をせず、与羽は希輝が駆けて来るのを待った。
「与羽ちゃん大変そうだったね」
輝希はなぜかニコニコしている。
「ご覧になっていたのなら、助けて下さればよかったのに」
「何言ってんの与羽ちゃん。ソラがそばにいて何で他に助けなんかいるの?」
「輝希師は無傷ですか?」
これはソラだ。
「うん、もちろん。なめないでほしいね」
「本題です、輝希師」
与羽は真剣な顔になって言った。
「ソラが感じている嫌な予感の正体を突き止められませんか?」
「やってみる」
輝希はどこからともなく水晶玉を取り出し、占いはじめた。
その間与羽は雷乱の背をかりて休み、ソラは辺りに神経を集中させている。
そのうち、戦闘不能にした人々や精霊を一箇所に固めていた人々も集まって、全員で雑談をする。
与羽は話をする気はなく、少し休みたかったので離れて座った。




