二 [4/10]
与羽はご神木に寄りかかって座り、腕を組んで目を閉じていたが、ソラ達が近づくと目を開けてニッと笑んだ。
「早かったな。ええもん連れて来てくれたじゃん」
「待ち伏せされました。先に来ていたのに、その事に気付かなかったそちらの過失では?」
「言ってくれるな、あんた」
与羽がソラをにらみつけた。そのとき――。
「ソラぁ~っ! 久しぶり!」
輝希が皆の見ている前でソラの胴に飛びついた。
ほとんど全ての人が呆れたような顔をして、目をそらす。
「久しぶりですね」
そう言って、ソラは輝希の暗い青の髪をなでてやった。
「もてるな、ソラ」
与羽はさっきとはうってかわって面白がる口調で言う。
「夢見には男性が少ないですし、わたしは顔がいいですから」
ソラは与羽の言葉を照れることなく返す。
「顔の上半分が隠れとんのに、顔がええとかなぁじゃろ」
「知らないんですか? わたしの瞳はとっても綺麗な深紅なんですよ」
「へー」
与羽はまったく関心なさげに相槌を打つ。
「この銀髪だって素敵でしょう?」
「あんたがそう思っとるだけかもな」
「腕もたちますしね」
「私は自分よりできる奴は好きじゃなぁ」
「わたしの全てを否定する気ですか?」
「場合によっては」
「そんなにわたしのことが嫌いですか?」
「ソラ、もう戯言はええ」
与羽の声が冷たくなった。
「戯言のつもりは、全く――」
「あ~あ、ソラ、ふられちゃったね~」
まだソラにしがみついている輝希が、彼を見上げて言った。
「ふられたわけではありません」
ソラは少し気に障ったような口調で言い、輝希を無理矢理放した。
布の下からいつものボウガンとは違う組み立て式の洋弓を取り出す。
「話が逸れました。今の状況を教えてください」
慣れた手つきで弓を組み立てながら、ソラは真剣な声で尋ねた。
「輝希師の占いのお陰で、この状況は読めとった。蒼蘭って飛走の子に結界を張ってもらっとる。こういうの得意な子じゃし、前もって十分な準備をしとったけ、六時間は余裕でもつ。
どうするか考えてくれ、夢見最強」
与羽も真顔で答える。




