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二 [3/10]

 彼らは「飛走(ひそう)」と呼ばれる民だ。名前は、月魄(げっぱく)蒼蘭(そうらん)

 月光のような淡い黄色の髪をした丸い目の青年の方が月魄。

 薄い青の短い髪に精悍(せいかん)な顔つきをした女性が蒼蘭だ。


 飛走は高地に住み、そこで鍛えられた素早さと、体力が自慢の民族だ。夢見とは逆で戦いを好み、強い者が上に立つ。

 ただし、輝希(キキ)は特別で、夢見から雇われた占い師として相当な力を持っている。精神年齢は幼いが、占いの腕は確かだ。


「まぁ、気を引き締めていきますか……」


「はい!」「分かってるわよ」「うん」と三様の返事が返ってきた。

 雷乱は少しでもご神木上空の乱気流を克服しようとほとんど飛び続けているので、この場にはいなかった。



「今のところ、平和のようですね」


 空中を旋回する白銀(しらかね)に乗ったソラは呟いた。

 二人の下には青麗(せいれい)をはじめとする夢見の民が十人ほど。

 前方にはすでに辺りの木よりも大きなご神木が抜き出て見えている。


 このまま無事に与羽達と合流、と思われた。しかし――。


「ソラ」


 待ち構えていたかのように精霊が後方から。今まで全く気配を感じなかったのは、うまく隠していたからか。


「……不覚、ですね。与羽にあわす顔がありません」


「そんなことはどうでもいい。もともと顔を隠してるんだから何てことないだろうが。どうする? ソラ。前からも、横からも。囲まれるぞ」


「まあ、白銀。落ち着いてください。久々に楽しくなりそうなんですから。気流に十分気を付けて、下降してください。締め出しをくらいます」


 ソラはなだめるような口調で言い、鳥形の白銀の首を軽く叩いた。

 白銀はすぐ従う。


 その瞬間、ソラ達を囲んでいた精霊や人の天力が弱まった。いや、間に現れた天力のせいで感じ難くなっただけか。


「結界……。与羽か?」


「どうやら違うようですが、与羽の所へ」


 ソラが命じると、白銀はすっと片方の翼を下げ、弧を描いて滑空した。

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