二 [2/10]
「与羽さん、飛走に飛んで頂けますか?」
「協力を求めてですか? 輝希師の予言を求めてですか?」
「両方です」
「今すぐですか?」
「ええ、準備ができ次第お願いします」
「分かりました、青麗様」
与羽は席を立ち、頭を下げた。
「いってまいります」
「ありがとうございます。我々がご神木に着くのは、四日後の昼ごろになると思います」
「青麗様もいらっしゃるのですか?」
一度席を立った与羽だが、青麗の言葉に与羽は一度足を止めた。
「ご神木に関しては、羽音神と天地創造の神からすべての責任を負わされておりますから」
やんわりほほえんで言うその様子に、与羽は彼女が天地創造以前から生きる予知の女神であることを思い出した。
神話で語られる神が目の前にいると考えると何とも妙な気分だ。
「分かりました」
与羽はもう一度頭を下げて、退室した。
* * *
風のご神木は大柳だ。創世期初期、世界の安定を図るため人柱となった精霊を祭る木。
木の周りには常に風が吹き、乱気流で雷乱でも飛ぶのは大変ならしい。
ここに来て二日経ったが、何も起こらない。
明日の昼には青麗達と合流する事になっている。
それまで、何も起きなければ良いのだが……。
「輝希師、何か見えますか?」
与羽は隣で水晶玉を覗き込んでいる少女に尋ねた。
夢見の伝統衣装黄色い布を腰に巻き、その上から毛のマントを羽織っている。暑そうに見えるが本人は汗一つかいていない。
「んん、火が付けられる可能性四十五パーセント位かな」
「まだ高いですね」
「でも、昨日は六十パーセント位あったんだから、減ったよ」
「どうやって回避しますか?」
「多分何もしなくても回避できるよ。与羽ちゃんはどんなに可能性の低い運命でも、自分に有利だって思ったらそっちに行ける子だからね。
たまにいるんだよね~。運命に逆らうのが得意な人。与羽ちゃんとか~、ソラとか~、ねっ。
与羽ちゃんなんて、片側四車線の道路の追い越し車線を時速百二十キロで走ってても、田んぼのあぜ道みたいな道を見逃さずに、事故ることなくそっちの道に入っていけちゃうもんね~」
「その例えよく分かりません、輝希師」
与羽は苦笑して言った。与羽のそばにいた輝希以外の男女も頷く。輝希同様毛のマントを羽織り、その下に皮と金属でできた鎧を纏っている。
男のほうは背に大剣を背負い、女のほうは腰に短剣を数本帯びている。




