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未知少女  作者: アキラ
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第1章第5話(17話) 明の選択⑤

「別の世界って・・・。本当に?」

俺はこのまま悶々と自分の中で考えていても埒が明かないことに気付いた。

というか、そろそろパンク寸前だったのだ。


俺は答えを求めて、アイナに一つずつ聞くことにした。


「本当ですよ。まあ、びっくりするのも仕方がありませんよね。

明さんって今までは普通の世界で生きてきたんですもんね。

しょうがないです。そうですね。少し長くなりますけど、

この世界についてゆっくりと話していきましょうか。」

「お、おう!それはすごく助かるよ」


「それでは、始めていきますね。

この世界はまあ、簡単に言うと鏡の国っていうところですね。

明さんは鏡と鏡を合わせたことってありますか?」

「え、いや、ないかな。俺たちの間ではその行為をすることは

どちらかというとオカルトの域の話でさ。あんまり信じたくはないけど、

鏡の中の何かに引きずられるとか何とかいう噂があってさ」

「そうなんですね。まあ、その噂はあながち間違いではありませんよ。

ただ一つ違うと思うのは引きずられるということですね。

鏡と鏡を合わせた先には、終着点がありません。

ただただ同じ景色が同一線上に広がっています。

そしてその景色と景色が干渉しあうことは通常あり得ず、

私たちの目には奥行きがとてつもなく長い景色が広がるわけです。

だから、その鏡の中に別の存在が発生することも通常はなく、

ましてはその中へ進むことも不可能です。

ただこれは通常の話では・・・。です」

「それってどういうことなんだ?」

俺はつい堪えなくなってしまって、アイナの言葉を遮ってしまった。

というか、ここまでの話を聞いてもあまり理解することのできない

自分がいて、少し情けなくなった。

そんな俺のことを気にせずにアイナは話を続けた。


「通常は、干渉することもその中へ進むこともできません。

だけど私たちの組織のNo1である要様はそれを可能にしました。

いや正確には、代々No1の座に就く者には先代のNo1より

その術を伝承されるようです。

ただ、その術を継承したものは次代のNo1が出てくるまでは

この場所を離れることが出来なくなってしまうという弊害はあります。

もしも要様が戦いに参加してくだされば、

今の状況ももっとましになったかもしれませんが・・・。

っと話が逸れてしまいましたね。要様の能力によってミラーワールドを作り出し、

その世界に同意した人物を入れさせることが出来るんです。

明さんももう経験していると思いますが、アジトに入るときに

手を扉に当てましたよね?あれをしたことで同意が成立し、

最初のミラーワールド“アジト”に入ることが出来たわけです」


(ああ、だからあの時俺たちは扉に手を当てさせられたのか・・・。)

やっと最初のあの行動を納得することが出来た。

それに加えて、最初は全く分からなかったアイナの説明も

何となくではあったがわかり始めてきた。

依然として、難解ではあったが・・・。


「それでアジトの中にはいくつもの部屋がありましたよね。

明さんの部屋やお風呂、更衣室に武器庫、後は食堂とかも。

他にも色々な施設があるので、まあ、その辺はここから出てから聞いてみてください。

それでその全ての施設はミラーワールドの単なる一層であり、

これらの施設に入る際に入り口同様、同意を得る必要性を生じさせたのであれば、

面倒ということもあり、アジト内の全施設にはここを含めた3か所を除いて、

同意せずに入ることが出来ます。ただこの世界―ミラーワールド“練習場”、

世界中のどこへでも通じている門―ミラーワールド“世界門”に

関しては同意が必要となっており、それを行うことで空間転移十式によって、

入ることが可能になります。そしてこの世界では時間の概念をもとの世界の

100分の1まで引き下げています。そのおかげで現実での数時間がこちらでは

数100時間ということになっているので、長時間修練を積んだとしても

現実では1時間しか経っていないということになるわけなんです。

どう考えてもすごいですよね?」


説明をし終えたアイナさんはすごくテンションが高かった。

それほどに自分たちの組織に誇りを持っているようだ。


俺は難解な説明の数々に混乱したが、なんとかわかった気がした。

ただ一つだけ腑に落ちないことがあった。

それは同意が必要な場所についての説明の時に、彼女が説明してくれたのは

ここー練習場と世界門のことだけ。

先ほどの話から察するにもう一つあるはずなのだが、そのことには触れなかった。

疑問符が頭の中に沸いたが、どうも聞いてはならないという変な感覚がして、

そのことについて聞くことだけはやめた。


そして・・・。

「それじゃあ、私の説明も終わりましたし、続きを始めましょうか。」

おもむろに剣を掴み立ち上がったアイナは俺に実践の続きを行うことを促した。


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